スポーツチャンバラ 世界チャンピオンを目指す川田雄太郎選手にインタビュー!その魅力の迫ります!
こんにちは、バーティカルランナー、階段坊主こと矢島昭輝です。
本日のピックアップアスリートはスポーツチャンバラで世界チャンピオンを目指す川田雄太郎選手です。
男なら子どもの時に新聞紙を片手に一度はチャンバラをしたことがあるでしょう。
今回はそれを競技レベルに高めたスポーツチャンバラの魅力に迫ります。
自己紹介、スポーツチャンバラとは
ーーーはじめまして。よろしくお願い致します。まず自己紹介をお願いします。
はじめまして、スポーツチャンバラをしている川田雄太郎と申します。現在、世界選手権での優勝、そして国別団体戦での日本代表メンバー入りを目指し、地元香川県にて日々奮闘しております。
―――恥ずかしながら、スポーツチャンバラという競技がある事をこの度初めて知り、心が躍っている自分がおります。子どもの時に遊んだ記憶が蘇ります。具体的なルールなどを教えて頂けるでしょうか。
スポーツチャンバラはエアーソフト剣という空気の入った剣を使って行う競技なります。日本発祥50年の歴史を誇る競技で、面を着けて実際に戦う打突競技と基本動作と呼ばれる型の競技の2種類があります。それぞれに世界選手権がありますが、私が本腰を入れているのは実際に戦う打突競技になります。
打突競技のルールは至ってシンプルになります。一分間一本の勝負で、相手の体のどこかに剣を当てれば勝ちとなります。
―――とてもシンプルですね。
そうなんです。しかし、剣の長さや本数の違いなど13種目に分けられているので、そういった意味では少し複雑かもしれません。私は2mの長槍、60cmの小太刀の2種目をメインの武器にしており、今まで長槍では2012年、2013年に世界選手権で連覇、小太刀では2017年にアジア選手権で優勝といった成績を収めました。今は60cmの小太刀と1mの長剣の二刀で闘う種目を練習しているところです。
―――なぜ二刀も始めようと思ったのでしょうか?
それは二刀の戦いが一番レベルが高いからです。このお話をする前に、まずはスポーツチャンバラの試合の形態を説明いたします。スポーツチャンバラは、まず同じ武器同士で試合を行っていき、その武器種目のチャンピオンが決まります。そしてその後に13種目それぞれのチャンピオンが闘い、頂上決戦をするのです。ここで最後のチャンピオンに君臨した者をキングオブキング、グランドチャンピオンといいます。
―――グランドチャンピオン、とても良い響きですね。つまりここで王者となった種目の武器が一番レベルが高いわけですね。
その通りです。私が狙うのは本当の意味で頂点です。今の現状に甘んじるのではなく、グランドチャンピオンの座を狙う為にも、新たな武器種目も学んでいき更なる高みを目指しています。
―――茨の道を進むわけですね。是非突き進んでください。
競技の魅力、スポーツチャンバラは生涯スポーツ
―――スポーツチャンバラの魅力とはズバリなんでしょうか。
ズバリいうと、いくつになっても競技を楽しめることです。実際私の周りには40代、50代の方が結構います。柔らかいエアーソフト剣を使うので怪我のリスクが少ないということも長く続く理由の一つでしょう。そして、一分一本勝負、当てれば勝ちというシンプルなルールは覚える事が少ない上に、「身体に当てれば勝ち」というシンプルだからこそ味わえる奥深さが生涯楽しめる理由だと思います。そういった意味では単純に体力が勝る若者に軍配が上がるというわけでもなく、熟年の駆け引きに分がある年配の方に軍配が上がる事もあるのです。
―――なるほど、奥が深いですね。武道にもルーツがあるのでしょうか。
はい、スポーツチャンバラは小太刀護身道という武道をルーツにしており、まず習うときは護身の方法から学んでいきます。そのため守りを制する者が試合を制するともいわれており、上手く守りつつ相手の一瞬の隙を突くのがこの競技のポイントになります。如何に攻撃するかではなく、如何に守るかということは頭では分かっていても中々に難しいもので、これも熟年者に分があることと思います。
お母さまも実は現役選手?!
―――40代、50代だけではなく、子どもの競技者も多いと伺いました。
そうなんです。競技として始めるというよりかは遊び感覚で始める子が多いですね。チャンバラなんて学校でやったら怒られること間違いなしですが、ここでは好きなだけチャンバラが出来るわけです。学校ではやったら怒られることが好きなだけ出来る。子どもたちにはいいストレス発散になっている事と思います。
―――学校でやったら怒られる、というのはバーティカルランニングにも言えますね。私の競技も休み時間には出来ません(笑)
川田選手がこの競技と出会ったのも子どもの時だったのでしょうか。
そうですね。私がこの競技と出会ったのは小学3年生の時でした。それまで私は勉強やスポーツで褒められたことがなかったのですが、初めて行った体験会で先生から「君上手いね!」と褒めてもらったんです。その一言がすごい嬉しくて、私の人生を変えたと言っても過言ではありません。誰かからの一言がこれほどまでに心に響き、力が湧いてきたのは生れて初めてでした。
―――人生が変わった瞬間ですね。
はい。運動がお世辞にも得意でなかった私がここまで成績を伸ばせたのも、その先生の言葉一つが始まりです。その言葉をくれた先生にはとても感謝をしているのですが、今振り返ってみますと体験会では皆に「君上手いね!」と言っているので、私はまんまと乗せられてしまったわけです(笑)今ではよくネタにする笑い話になっています。
実はもう一つ面白い話があります。
―――気になります。
私がスポーツチャンバラを始めてしばらくした時、母が「私もチャンバラやりたい」となったんです。そうしたらあれよあれよと腕を上げてしまって、2011年と2013年にはグランドチャンピオンになってしまったんです。よく「親の背中を見て私もこの競技を始めました。いつか恩返しをしたいです。」というインタビューを耳にしますが、まさか母が私を追いかけて競技を始めて、こうして競技仲間になるとは夢にも思わなかったです。
―――それは面白過ぎですね。お母さんと闘うときはどういった気持ちなのでしょう?
私は打突競技、母は基本動作をメインとしているので闘うことはほぼありません。二人とも目指すものは異なりますが、お互いを高め合える良きライバルという立ち位置になります。
練習はストイックかつ独創的
―――家族で競技をしているということでしたが、やはり家庭内でも競技の話になるのでしょうか。
そうですね。一番多いのは技の研究についてです。スポーツチャンバラは相手に剣を当てれば勝ちなので技の数がそれこそ無数にあります。日々どのような技を出せるかなどが話に上がります。
―――今一番研究していることは何でしょうか。
技の出だしについてです。自分の技の出だしとはつまり相手の技を避ける瞬間になります。如何に避けた瞬間に攻撃に転じる事が出来るか、これがポイントになります。避けるときに重心が後ろに下がってしまうとタイムロスになるので、相手の剣に向かっていきながら避ける練習をしています。
―――剣に向かって避けるのは恐怖心はないのでしょうか??
正直とても怖いです。子どもが周りにいる時は面を着けて避ける練習をするのですが、子どもがいないときは面を外して練習をするので更に恐怖心が増します。避けなければ怪我をする。そういった状況に身を置くことで自分のコンマ何秒の感覚を磨いています。今はボクシングのトップ選手などの練習方法を取り入れているのですが、スポーツチャンバラに繋がるトレーニングあれば何事も貪欲に取り入れていきたいと思っています。
川田選手の将来像、子どもたちに人生を変えるきっかけを。
―――川田選手は将来どのように競技と関わっていけたらと思っていますか?
私はスポーツチャンバラによって人生が変わった人間です。私も子どもたちの胸に響くような言葉を掛けて、明るい未来に導ける指導を日々心掛けています。将来としては50歳まで現役で選手を続けていき、若い者に負けないガッツで勝負をしていけたらと思っています。私は競技時間を確保するためにわざわざ仕事を変えて競技に打ち込んでいます。この情熱は誰にも負けるものではないという自負がありますし、それを証明するためにも生涯現役であれたらと思います。
―――スポーツチャンバラのクラブ運営一本での将来設計をあるのでしょうか。
現状スポーツチャンバラのクラブだけで生計を成り立たせることは全国的に見てもまだまだ難しい状況ではあります。しかし、私はスポーツチャンバラA級インストラクターの資格を持っており、大学時代には0からサークルを立ち上げて僅か2年で団体戦全国3位を成し遂げた実績があります。こういったノウハウを活かして今のクラブを更に強化していき、自身はアスリートとして世界チャンピオンを目指しながら、次世代の育成にも力を入れていけたらと思います。
川田雄太郎選手の魅力
川田選手のように誰かからの一言で人生を変えられる人間はとても強い人間だなと思います。是非多くの人に同じ感動を与えてほしいと思いました。そして今回お話を伺いチャンバラに関してのイメージがだいぶ変わりました。YOUTUBEでも多くの試合の様子がアップされているので是非ご覧ください。きっとチャンバラがやってみたくなることでしょう。
8月には横浜にて全日本選手権、11月には同県にて世界選手権が開催されますので、そちらも要チェックです。スポーツチャンバラの普及活動、世界チャンピオンに向けての活躍、これからの川田雄太郎選手の動向に注目です!!
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