【アスリートインタビュー】ウィンドサーフィン・倉鹿野 巧さんの魅力に迫る!

みなさんこんにちは!女子サッカーをしている大宮 玲央奈です。

今回のアスリートインタビューは、現役大学生でウィンドサーフィンをしている倉鹿野 巧さんです!

自己紹介

ーーーまずは自己紹介をお願いします。

現在神奈川大学4年生の倉鹿野巧です。
ウィンドサーフィンを大学1年生から始めて、結果も良かったので今後大学卒業してからもオリンピックを目指してやっていこうかなと思っています。

ーーー本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします!!

ウィンドサーフィンとは?

ーーーウィンドサーフィンについて教えてください。

セーリング種目に属していて、風を読んで戦略的に進めていくという競技です。
競技の仕組みとしては基本的にマラソンのような感じで、レースによっては100~200人くらいで一斉にスタートして、風上と風下に打たれたマークを一周して着順を競います。
1日に6レースやったりとかして、その合計順位がそのまま順位に反映されて結果がでます。

ーーー1日に6レースもやるんですか?

そうですね。大会は基本的に1日に4〜6レースで、世界規模だと5日間やったりします。

ーーー中日とかもなく、5日連続ですか?!

はい、5日連続です(笑)
僕が大学でやっているレースだと、トップ選手で1レースだいたい30分くらいかかります。
オリンピックの道具になると、レースの長さがその都度変わるんですけど、短いものだと20分くらいで、マラソンという長い距離を走るレースもあります。

ーーー結構ハードな競技ですね。

今のを聞いて、レース自体長くて過酷という印象になったかと思うんですが、実際に自分が走ったりしているわけではないので、他の競技と比べると体力の消耗はそこまで激しくないのかなと思います。
慣れると風も読めるようになって、もっと余裕も出てきます。

きっかけは新入生へのビラ配り

ーーー大学からウィンドサーフィンを始めたということでしたが、ウィンドサーフィンをするために神奈川大学に入学したわけではなかったんですよね。

全然普通の大学生活を送ろうと思って、神奈川大学に入学しました。
もともとスケボーとかスノボーをやったりアウトドアが好きだったので、この部活に入ることにしました。

ーーーウィンドサーフィン部を知ったきっかけは?

ビラをもらったので、体験入部に行きました。
小さい初心者用の道具があって、それに乗らせてもらったんですが、最初は全然乗れませんでした(笑)

ーーー入部の決め手はなんだったんでしょうか?

海とかアウトドアが好きだったんです。
あとは海の上を自由に移動できる競技ってあんまりないなと思って、そこが面白かったですね。

ーーー1枚のビラから始まったんですね!もしそのビラがなかったら、どんな学生生活を送ってたんですかね。

スノーボードが好きなので、夏はスケボーして冬はスノボーでリゾートバイトでもしてって考えていました。
ウィンドサーフィンに出会ったことは、人生を変える大きなきっかけでしたね。

30㎏の増量?!

ーーー現在の活動状況についてお聞かせください。

基本的には、午前中授業だと午後から海に来て練習してっていう繰り返しです。
学校から電車で1時間で海に出れるので、授業が終わり次第、海に向かっています。
道具も海の近くにショップがあって、そこに置かせてもらえているので、ありがたいです。

ーーー練習は毎日されているんですか?

風がないと練習ができないんですけど、風があれば毎日やってます。

梅雨時なんかは風がないので、あんまり練習ができなかったりします。
逆に冬は風も強いので毎日練習出来たり、その日の天気や季節によって、練習状況も変わってきますね。

ーーー週末に試合や大会があったりするんですかね。

実は、試合や大会はそんなに多くないんです。
オリンピックを目指すような道具のカテゴリーだと、大会は基本的に海外になるので、まだ今は日本で下積みという感じです。
それと僕は体重を増やさないといけなくて、それに苦戦しています。

ーーー体重があった方がいいんですね!

体重が重いほうがスピードが出て有利ということと、強風にも耐えられるんですよ。
軽いと吹っ飛ばされてしまうので。
競技を部活動から、オリンピックを目指すカテゴリーに変えました。
それに伴って体重が90kgほど必要になり、30㎏増量しないといけないんです。

半年前まで60㎏で、今ようやく70㎏近くまで来たのですが、それでも残り20㎏あるのでとにかく増量が大変です。

ーーーもともと体重が増えにくい体質ですか?

ガリガリでした。なので余計大変ですね。
60㎏の自分の半分を増やさないといけないので(笑)
脂質を多くとりすぎないようにしながら、食べる量をひたすら増やしてます。
ジム通いつつ、食べまくって、練習しつつという生活を送っていますね。

ーーー私だったら、食事が楽しむためではなくて、体重を増やすための食事になってしまうのはめちゃめちゃしんどいです。

もともとガリガリだったのもあって、食に対して無頓着なんですよ。
食べること自体があまり好きではなくて、1日食べなくてもいいくらいだったんです。
沢山量を食べるとなると、時間も食費もかかるので、食べなきゃいけないというのが本当に大変です。

ーーー聞いてるだけでも辛いです、、

ジムと練習が楽しいので何とかなってます。
でもやるしかないので!!

部活動からオリンピック競技への変更

ーーー大会は部活動として参加するんですか?それとも日本代表としての大会になるんでしょうか?

学生の時と今の道具が違くて、僕は去年で学生の部は引退していて、今年からオリンピックの道具乗っているんです。
学生までの道具の時は国内の学生の中で日本代表のセレクションがあって、それに選ばれた人で世界選手権とヨーロッパ選手権に参加するということはありました。

ーーー学生でウィンドサーフィンをやっていた人たちが、卒業後もオリンピックを目指したり、競技で上を目指すとなると、道具もすべてオリンピックの方に揃え直さないといけないんですか?

そうなんですよね。それが今のウィンドサーフィン界の課題というか。
学生で道具を買っていても、そのまま直接オリンピックに繋がるわけではないので、就職だったりスポンサー集めだったり、いろいろ大変なことが多いです。

ーーー具体的には何が違うんですか?

まずは道具が違います。
学生の道具がだたい35~40万円くらいなんですけど、オリンピックの道具となると145万円くらいに跳ね上がります(笑)
金額からもわかるように根本的に道具が全くの別物です。
あとは学生の時の適正体重が60㎏くらいといわれていて、オリンピックの方だと適正体重は90㎏になります。

ーーーなるほど!だから巧さんも体重を増やしたり、新しい道具に慣れないといけないんですね。

本当に同じだったらどれだけよかったかとは思いますよね。
それが違うので、今は下積みみたいな感じです。

ーーー新しい道具の感覚はやはり違うんでしょうか?

根本の考え方とかレースの仕方とかは、だいだい一緒なんですけど、新しく増えたこともいくつかあって、それに対応しなきゃいけないですね。

ーーーどんなことが増えたんですか?

高速船ってわかりますか?水面から船が浮いているんですけど、見たことありますか?(笑)
僕らの道具はフォイルと言って、写真のように、支柱みたいなものが伸びていて、水面から浮くんです

学生の時は皆さんが想像しているようなサーフィンみたいな感じの船だったので、そこが大きな違いですね。

ーーー全然違いそうですね。それにすぐ壊れてしまいそうです、、

そうですね、時速40~50㎞でるような道具なので、例えばその状態で大きな魚とかと衝突してしまったりとか、壊れることは結構ありますね。簡単に買い替えれるようなものではないので大変ですね。
海外遠征をしたりする場合、活動費として年間500万円以上はないとって感じですね。

大会結果

ーーー大会情報を教えてください。

7月15、16日に僕の活動しているこの場所で大会があって、出場しました。

ーーー結果はどうでしたか?

結果はメンズ11位でした。
かなり風が吹いてしまって、全然体重が足りませんでした。
これからの自分に期待!って感じのコンディションなので、全く落ち込まずに次に繋げてます!

ーーーその心の持ち方素敵です!!先ほどから下積みというワードが何度か出ていますが、選手寿命は結構長いスポーツなんですかね?

結構長いですね。
オリンピックに出ているような選手が30代後半とかです。
経験値が大事になってくる競技なので若い人よりも、ある程度経験を積んだ選手の方が速かったりします。

ーーーそしたら巧さんは、今後伸びしろだらけですね。未来が明るい!

今はたくさん経験して、準備をして、頑張ります!

目標と魅力

ーーー今後の目標は?

まず直近の現実的なこととして、日本の強化指定選手に選ばれることが目標です。
強化指定選手になるとサポートしてくれる企業だったり、そういったサポートも増えてきて活動資金の面で大きなアドバンテージになるので。

将来の理想の目標は、オリンピックに出場することです。

ーーー強化指定選手はいつまでになりたいというのはありますか?

2028年のロサンゼルスオリンピックまでになれたらなと思っています。
そしてロサンゼルスオリンピックか2032年のブリスベンオリンピックに出場したいです。

ーーー目標達成に向けた課題はなんでしょうか。

海外で行われる大会に出場して、いい結果を残すことが一番ですね。
ただ僕はまだ体重が足りていないので、体作りをして来年とか再来年に挑戦したいと思っています。

ーーー大会に出場して経験したい気持ちと、まだ体重を増やさないといけない状況の気持ちのバランスがもどかしいですね。

そうですね。ただ、準備をしっかりしない状態で大会に出ても、結果がでないことはわかっているので。

ーーー大変なことも多いかと思うのですが、それでもやり続けられるウィンドサーフィンの魅力を教えてください。

海上を自由に移動できるのが一番の魅力です。
夏の風が弱い時は隣の浜まで海を渡っていって、浜に帰着して、海の家行って帰ったりっていうのもとても楽しいです。
風が強い時だとエクストリームな感じで楽しむこともできるので、そこがウィンドサーフィンの魅力だと思います。

ーーー夏の風の弱い日コース、やってみたくなりました!(笑)簡単に乗れるものなんですか?

風が弱かったらすぐ乗れますよ(笑)
風が吹いていると流されたりという危険もあるので、最初は少し危ないですね。
SUPって流行ったかと思うんですが、風のない日はSUPに似てます。

理由を求めて最後まで研究し尽くす

ーーーさて、次は巧さんの魅力についてお聞きしていきます。ご自身の強みはなんでしょうか。

競技面ですと、僕が理系なんですけど、論理的に考えるのが好きなんです。
なので感覚だけでやらずに、「ちゃんと理由を求めて最後まで研究し尽くす」というのが大学1年生の時からはまっていて、それが結果にも繋がっているのでそこが強みだと思います。

ーーー研究とは、具体的にどんなことをされているんでしょうか?

風の入り方とか、風の読み方とかを勉強しないと前に進まないので、そこに関しては本をたくさん読んだり、YouTubeで動画をたくさん見たりして情報収集をしてます。
その情報を整理して、練習で試したり、試行錯誤を繰り返してっていうことをやっています。

川があったら、空気も水とかと一緒で物体なので、低いところに溜まるんですよ。
山の谷があれば、そこに風が入って溜まって流れてくるんです。
なので海にいて、陸地側から風が吹いている時に川があると川のところから風が出てくるんですね。
それを利用して川の下側でレースを展開するようにしたりとか、そういったことをいろいろ考えながらやるような感じです。

ーーーものすごく頭を使う競技ですね、、

そうですね。乗りながらすごくいろんなことを考えてますね。
なのでボケっとしてると結構順位下がっちゃうんですよ(笑)

ーーーパワー系のイメージがあったのですが、それよりも頭脳が大事なんですね。

道具に対しての熟練度が低いと、乗ることに集中してしまって、そうすると風を見る暇がなくなります。
なのでこの競技は、経験値がとても重要な要素になってくるんですよね。

ーーーありがとうございます。それではプライベート面を深堀していきたいと思います!アウトドアと言ってましたが、普段の巧さんについて教えてください。

プライベートですね、、、なんですかね(笑)
誘われたら絶対遊びに行きますね!フットワーク軽いと思います。
基本的に外に出てたいタイプなので。

ーーー趣味もアウトドア系ですか?

趣味は釣りですね!
風が全くない日は練習もできないので、SUP乗って釣りしに行ったりとかしてます。

ーーーえ!!SUPで釣れるんですか?!

SUPの釣りすごい釣れますよ!
沖まで行ったりできるので、この前はめちゃめちゃでかい鯛釣って帰ってる人見ました(笑)

ーーーそんな大きい魚を釣って転落しないんですか?(笑)

意外としないんですよ!(笑)
沖まで行けちゃう分、投げる必要もなくて、下にちょんと落とすだけで大きいのが釣れたりするんですよ。
船を借りて沖まで行くとなると結構お金もかかるじゃないですか。
でもSUPだとそんなにお金もかからないのでいいんですよ。

ーーーめちゃめちゃ楽しそうですね!

帰ってきて自分でさばいて、最高ですよ!

ーーー釣りが趣味ということで、オフの日は基本釣りをして過ごすんですか?

オフの日というよりは、風がない日ですね!

オフをあんまり作れないので、風がない日に休むようにしています。
でも競技というかオリンピックの道具に変えたばかりなので、ジムにも行かないといけなかったり、プライベートの遊ぶ時間っていうのがあんまりないのが現状です(笑)

ーーーしっかり息抜きもしてくださいね!大変なことも多いかと思いますが、応援しています。いろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました!!

 

あとがき

取材前までは、ウィンドサーフィンは体全身を使って、身体的にハードな競技だと思っていましたが、この取材を通して、身体よりも頭脳、そして経験がなによりも重要な競技なのだと知ることができました。
だからこそ選手寿命も長い競技で、「今は下積み」と現状を理解して将来のために今できること精一杯やっている巧さんのお話を聞いて、自分でも気づくことがありました。
穏やかで整理された口調と言葉からは、軸の太さを感じられました。
まだ発展途上である日本のウィンドサーフィン界の未来を担う、倉鹿野巧選手の今後の活躍を応援します!

Instagram >>> https://www.instagram.com/gano_8.1/

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倉鹿野 巧プロフィール

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