チアリーディング世界一からNFLを目指す理由とは?大西真菜美さんに取材してきました
チアリーディング世界一に輝き、その後アメリカのNFLチアリーダーを目指すべく奮闘中の大西真菜美(おおにし まなみ)さんを取材しました。アクロバティックな動きのある競技チアリーディングからNFLチアリーダーを目指した理由や現在の活動内容についてお聞きしました。
大西真菜美さん自己紹介
1996年兵庫県生まれ兵庫県育ち。3歳から11歳までクラシックバレエを習い、10歳から14歳まではヒップホップダンスを習う経歴もあり、まさにダンス尽くしの幼少期を過ごした。
チア未経験で日本一のチアリーディングチームへ
元々、新しい環境に身を置きたいという理由で、自宅周辺からは少し離れた高校への進学を決めていた。実は市立尼崎高校から陸上部として入学しないか?とのオファーもあったが、母親の友人の娘さんが当時メンバーだった大阪の箕面自由学園高校のチアリーディング部にも興味があった。体験会に参加すると、「華やかで楽しい!」とチアリーディングの楽しさに魅了され、そのまま箕面自由学園高校への進学を決めた。
箕面自由学園高校チアリーディングといえば、世界にも名が通るチアリーディングの名門校。たびたびテレビにも特集されるほどの実力だ。
「チアで日本一とは聞いていたのですが、いまいちピンときていませんでした。」物怖じせずにどんな環境にも飛び込んでいくのが大西流だ。
ピンチをチャンスに変えた高校時代
とは言え、さすが高校日本一を誇る名門校での練習は厳しいものだった。また、自身の代には、中学校からチアリーディングを続けている「チア経験者」がほとんどいなく、異例の「ほぼ未経験者のみ」という状況だった。さらに、一つ上の代の先輩が黄金時代と言われたほど実力のある選手が揃っていたため、その先輩方が卒業した後はまるでチームはすっからかんの状態だった。
先生やコーチからも「次はやばいぞ」という声が上がるほど、日本一のチームにピンチが襲った。その時のチーム全体キャプテンを務めたのが自分だった。
高校最後の全国大会。これまで優勝することが当たり前だったが、決勝進出チーム決定戦である準決勝の演技では、演技中にまさかのミスが。ライバル校に点数が一歩及ばず、2位での決勝進出となった。
「やばい。」準決勝の演技が終わった後のチームの雰囲気はどん底だった。絶対に優勝しなければというプレッシャーで、決勝戦の前日でのチーム練習では疲労骨折者も出るほどピンチの状況だった。
この状況下だからこそ、コーチ方が喝を入れてくれ、メンバー同士でも雰囲気を盛り上げ、ミーティングを何時間も重ねたことで、全国優勝を死守することができた。
「仲間を信じる“勇気“が大事だと学びました。演技中に、自分でどうにか頑張ろうと自分勝手になるのではなく、チームメートを信じることでいつも通りの演技ができるんだと感じました。」
チアリーディング日本代表のキャプテンとしての活躍
大学は、立命館大学に進学。高校時代は「女子部門」といって演技全てを女子選手のみで行う部門だったが、大学では少し違う雰囲気でチアを続けたいと、関西で唯一の「男女混成チーム」がある大学、立命館大学に進学。ここでも、常に新しいことにチャレンジするという大西流が炸裂。
さらに、大学4年生の時に、チアリーディングの日本代表選手に選出され、男女混成部門で世界選手権に出場した。
高校時代同様、日本代表チームのキャプテンも任された。
負けず嫌いで、弱音を吐いている姿を人に見せたくない、ポジティブな声がけを常に心がけ、チームメートとは男女関係なく気さくに話すことができる。この後ろ姿こそが、「この人にキャプテンを任せたい」とみんなが思う理由なのかもしれない。
チアリーディングの男女混成チームでは、女子選手と男子選手の間に若干の溝が生まれがちだ。そんな溝を、持ち前の明るさとコミュニケーション力で埋めることができた。
日本代表チームは3ヶ月という短期間でチームワークを高めながら演技を仕上げなければならなかったが、キャプテンとして高校で学んだ経験も生かしながらチームをまとめ、結果は、世界一を獲得することができた。
卒業後は一旦チアから退くも・・・
世界一も果たし、大学卒業後は一度チアリーディングからは身を引いた。しかし、社会人になり、旅行系企業で勤務するも、チアリーディングで学んだコミュニケーションの基本とは異なる文化に疑問を感じる日々だった。
「このままでは自分を見失ってしまう。」そう思い、会社以外で何かやらなければと思い立ち、チアリーディングの経験と幼少期から行なっていたダンスの経験も生かせる「チアダンス」を始めるに至ったのだ。
当時は何気なく始めたチアダンスだったが、これがNFLを目指す大きなきっかけとなった。
ガンバ大阪専属チアリーダーからNFLへ
会社生活以外に何か始めたいと思った1週間後に、G大阪のチアリーダーの体験会が開催された。なんというタイミングだろう。まるでチアダンスの道に導かれているようだった。
チームへの加入後は、負けずぎらいの性格を発揮し、上手くなりたい一心でアメリカのチアリーダーの踊りをYoutubeなどの動画で見ながら必死に研究した。その時に見ていたアメリカのチアリーダーたちがキラキラしてかっこいい。
「私もこうなってみたいけど、今の私には無理だ。技術も足りないし、アメリカにすぐに行くお金もない。」当時はそう思っていた。
しかし、その後、ガンバ大阪でのチアを経てNFLチアリーダーとなった先輩のお話を聞いて全てが変わったのだ。
「思い立ったら行動!お金はどうにでもなる!」
そんな言葉を先輩から聞き、決心はついた。
「よし、NFL目指すぞ!」
その日にはすでに両親に相談。なぜ目指したいのか、お金はどうするのか、トライアウトまでのプロセスなどに関して両親にプレゼンテーションを行い、親にも納得してもらえた。
そして翌日には、会社の上司に辞職を申し出た。
そしてNFL目指し渡米
2020年2月、夢に見たNFLチアリーダーのトライアウトを受けるために渡米。トライアウトのための練習期間も含め3ヶ月程度滞在予定だったが、残念ながらコロナの影響で1ヶ月足らずで帰国。トライアウトは日本緊急帰国後にオンラインで行った。
結果は、落選。
悔しいが、こんなことで落ち込むわけがない。持ち前の「ポジティブさ」で、すでに来年のトライアウトに向けて動き出している。
未来のチアリーダーたちの選択肢を広げたい
日本には、これまで競技チアリーディングで世界一をとり、NFLチアリーダーになった選手はいない。自分自身が、この偉業を成し遂げることで、未来のチアリーダーたちに向けて、「NFLという道もあるんだ」と、選択肢を広げるきっかけを作りたいと意気込む。
そんな前例のない先駆者となれるよう、今もなお動き続けている。
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