【新潟医療福祉大学】噛み合わせの強度が運動パフォーマンス向上のきっかけになる!咬合(こうごう)強度によって運動パフォーマンスに変化をもたらすことを科学的に解明!
NSGグループの新潟医療福祉大学 平林 怜 助教(ひらばやしりょう/理学療法学科・スポーツ医科学Lab・運動機能医科学研究所・アスリートサポート研究センター)らの研究グループが、「咬合(こうごう)」(上の歯と下の歯との噛み合わせ)強度によって運動パフォーマンスに変化をもたらすことを科学的に明らかにしました。
本研究成果は2021年4月に国際誌『Sports Health』に採択され、今後掲載される予定です。本学では引き続き、保健・医療・福祉・スポーツ分野の発展に貢献する研究と研究成果を広く世界へ発信することに積極的に取り組んでまいります。
研究結果のポイント
②低強度の咬合で「関節運動を遂行させた運動パフォーマンス」に適している
研究内容の概要
咬合はあらゆる身体活動の場面で行われ、日常生活では咀嚼、精神状態によっても咬合に大きな影響を受けています。噛みしめることで歯根膜の受容体から三叉神経の経路を経由して上肢・体幹・下肢に遠隔促通効果が働くことが知られています。本研究は、脊髄機能の変調、関節運動をした際の筋力や筋電図解析を用いて咬合強度によってもたされる効果を検討しました。高強度の咬合は、脊髄の興奮性が増大し、脊髄相反性抑制が消失し、同時収縮指数が高くなることから、関節の固定に特化した運動パフォーマンス(ウエイトリフティング、コンタクトスポーツ、器械体操の吊り輪など)に良い効果をもたらす可能性を明らかにしました。低強度の咬合は、脊髄の興奮性が増大し、脊髄相反性抑制が残存し、同時収縮指数が減少することから、関節運動に特化した運動パフォーマンス(野球、テニスなどのオーバーヘッドスポーツ)に良い効果をもたらす可能性を明らかにしました。
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平林 怜 助教からのコメント
咬合は大変面白い領域で、噛みしめることで即時的に全身に対して促通効果をもたらし、筋の活性に大きな影響を与えることができます。しかし、スポーツ現場では咬合について何も指導されていないことが現状としてあります。噛みしめは競技特性によって適した咬合強度があると考えます。特に円滑な関節運動を行いたい動作に過剰な咬合は全身の緊張につながり、力みとなり運動パフォーマンス低下を引き起こすと考えています。本研究ではその一助となる知見となりました。
今後の研究としては、咬合は良い効果だけなく悪い影響を与えてしまうこともあります。実は歯が噛み合わさっている時間は、24時間の中でたった17分半といわれています。ほとんどの時間が上下の歯は接触していません。つまり、日常生活で過剰に咬合をすると全身の筋肉が緊張状態となり、腰痛や肩こりや頭痛など身体に様々な悪影響を及ぼします。また、噛み合わせも日常生活から運動と密接な関係があります。今後、咬合度合い、噛み合わせが運動パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにして、スポーツ選手の運動パフォーマンスを向上させる一助となるよう研究を進めていきたいと思います。
新潟医療福祉大学は、全国でも数少ない保健・医療・福祉・スポーツの6学部13学科を有する総合大学として20種類以上の専門職を養成する教育カリキュラムを配置しています。”運動機能医科学研究所”やトップアスリートおよび指導者を育成する”強化指定クラブ”、アスリートサポート研究を推進する”アスリートサポート研究センター”などを設置し、リハビリテーション科学およびスポーツ科学を基盤とした、特色ある教育・研究・地域貢献活動を実践しています。
2020年12月に文部科学省が発表した「2020年度科学研究費採択件数(過去3年間の新規採択の累計数)」において、「スポーツ科学、体育、健康科学、およびその関連分野(リハビリテーション科学を含む)」で新潟医療福祉大学が全国第4位となりました(私立大学では全国第2位)。
※過去3年間の新規採択の累計数(文部科学省HP「令和2年度科学研究費助成事業の配分について」参照)
出典:PR TIMES
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