
女性アスリートが語る夢への挑戦と現実
陸上競技の400mハードルという種目をご存知でしょうか。この競技は、400メートルという中距離を全力で走りながら、10台ものハードルを飛び越えるという、技術とスタミナの両方が求められる過酷な種目です。
スポーツコミュニティ株式会社が運営するYouTubeチャンネル「アスキャリ」では、この400mハードルに挑む現役女性アスリートが、自身のキャリア、競技の厳しさ、そして女性アスリートとしての夢について赤裸々に語っています。この記事では、その動画の内容を詳しく紹介しながら、女性アスリートが直面する課題、世界を目指す上での障壁、そして将来の夢について深く掘り下げていきます。日中は企業に勤めながら競技を続ける実業団選手のリアルな声を通じて、アスリートのセカンドキャリアやキャリア形成の重要性についても考えていきます。
実業団選手としての二刀流生活
現在、実業団3年目のこの400mハードル選手は、日中は企業に所属して働きながら競技を続けています。午前中に練習を行い、午後2時頃からは陸上クラブのコーチとして3歳から高校生までを教えるという、まさに二刀流の生活を送っています。
この選手は福岡県出身で、一家でプロ野球ホークスの大ファンという環境で育ちました。父親は元高校野球の監督を務めていた筋金入りの野球人であり、スポーツが身近にある家庭で育ったことが、今の競技人生にも影響を与えているといいます。
実業団選手として働きながら競技を続けることは、決して楽な道ではありません。しかし、この選手は「女性や仕事を理由に夢を諦めるのではなく、ライフステージも大切にしながら夢に向かって突き進んでいきたい」と力強く語っています。この姿勢は、多くの働く女性アスリートにとって希望となるはずです。
400mハードルという過酷な競技の世界
元々は100mハードルと400mハードルの両方に取り組んでいたこの選手ですが、大学院で染色体の検査を行った結果、自身が中距離、つまり長い距離の方が得意という結果が出ました。また、100mハードルでは世界で戦えないという認識もあり、この検査結果に背中を押されて400mハードル一本に絞ったといいます。
400mハードルに絞ってからまだ3年ほどしか経っておらず、「伸び代だらけ」だと感じているそうです。今年の日本選手権では5位という成績を収めました。
ハードル競技は走りも大事ですが、技術が非常にものを言う種目です。100mハードルより400mハードルの方が高さは低いものの、ハードリングの技術は100mの経験が今も活きているとのこと。しかし、400mハードルの最大の難しさは、全力で走ってしまうと100m程度しか体力が持たないため、ペース配分が必要だという点にあります。特に、ハードルを飛んでいる間は休憩のような感覚で力をリラックスさせるなどして調節している、非常に過酷な種目なのです。

世界との差と日本人初の54秒台への挑戦
日本の400mハードルは「まだ壁が高い」と、この選手は感じています。日本記録が55秒37程度であるのに対し、海外ではそのタイムでも中盤にとどまります。世界陸上の標準は54秒台ですが、日本人はまだ誰も54秒台を出しておらず、この選手は自分がその最初の選手になりたいと志しています。
世界ランクを上げるためには、日本国内のレースだけでなく、海外での大会に積極的に出場しポイントを積む必要があります。同じタイムを出した場合でも、日本国内より海外の試合で出した方が点数が高くなるという仕組みがあるためです。
しかし、海外の試合に出場するには、代理人を介したエントリーが必要であり、ランキングが高い選手でないとエントリーができない上、高額な費用がかかります。現在、最もネックとなっているのは資金面であり、1試合につき約100万円(渡航費、滞在費、代理人の費用を含む)がかかると推測されています。
世界を目指す上での主な課題を整理すると、以下のようになります。
| 課題の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 資金面 | 海外遠征1回につき約100万円の費用が必要 |
| ランキング | 海外大会へのエントリーには一定のランキングが必要 |
| ポイント獲得 | 国内より海外の試合の方がポイントが高く設定されている |
この選手は、自身の夢を一緒に叶えてくれる応援や、支えてくださる企業を募集していると呼びかけています。
スポーツコミュニティ株式会社のような、アスリート支援に力を入れる企業の存在が、こうした選手たちにとって大きな希望となるはずです。

女性アスリート支援への情熱と研究
この選手は大学院でコーチングを専攻し、スポーツ生理学を学びました。研究内容は「月周期によるクレアチン摂取が競技にどう影響するか」というもので、クレアチンは飲まないより飲んだ方が競技に有利になるという結果を得ています。
月周期(卵胞期と黄体期)によって女性は体調に差が出やすく、生理や生理前の辛さなどで悩む女性アスリートが多いことから、自身の経験を活かして支援やアドバイス、サポートをしていきたいと考えています。
将来的には、女性アスリートだけでなく、子供たちやスポーツをしている人々がコンディションを整えられるようなアプリの開発を考えているといいます。大学院で研究した知見やAIを活用し、個人の体調に合わせたアドバイスをアプリで完結できるようにしたいという構想です。
ロールモデルとして誰かの背中を押したい
この選手が最も大切にしているのは、「女性や仕事を理由に夢を諦めるのではなく、ライフステージも大切にしながら夢に向かって突き進んでいきたい」という信念です。自身が活躍する姿を通じて、誰かの背中を押せる存在(ロールモデル)になりたいという強い目標を持っています。
実業団選手として働きながら世界を目指す姿勢は、多くの女性アスリートにとって希望の光となるでしょう。また、スポーツ生理学の研究を通じて女性アスリート特有の課題に取り組む姿勢は、今後のスポーツ界全体にとっても大きな意義があります。
今回紹介した400mハードル選手の挑戦は、動画のほんの一部に過ぎません。実際の対談では、競技の技術的な話や、家族との温かいエピソード、そして「ご褒美飯」として大切にしているお母さん手作りのハンバーグの話など、ここでは紹介しきれなかった魅力的な内容が満載です。彼女がどのような思いで世界を目指しているのか、女性アスリートとしてどんな未来を描いているのか。その生の声を聞くことで、スポーツの持つ力と可能性がより深く理解できるはずです。
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