こんにちは。
現在、日本代表入りを目標に活動しておりますフィンスイミング選手の世古千紘です。
今回は、ドイツでプロバレエダンサーとして活躍しているクラシックバレエの山田夏生(なつき)さんにインタビューしました。
山田夏生(なつき)さんの紹介
長野県出身。
高校のときに1年間休学をし、中国へ留学。ドイツ・ドレスデンのパルッカシューレというバレエ学校に行き、その後Semperoper Ballett Dresdenと契約。
研修生を経て、現在は正団員としてプロバレエダンサーとして活躍している。
クラシックバレエとの出会い
---クラシックバレエを始めたきっかけは?
もともとは5歳くらいからヒップホップを習っていました。
私はあまり覚えておらず母から聞いた話なのですが、そのヒップホップの先生が『バレエをしたほうが良い』と勧めてくださったのがきっかけだったようです。
クラシックバレエを始めたのは7歳のときでした。
---海外に挑戦しようと思ったのは?
国際コンクールに出場するためには、日本予選を通過しないとなりません。
その日本予選には14歳から毎年出場していました。
そういった意味では中学生になった辺りから意識はしていたのかもしれません。
実際に国際コンクールに出場できたのは18歳のときで、ニューヨークにてのコンクールでした。
また同年、有名なローザンヌ国際バレエコンクールにも出場することができました。
プロバレエダンサーへの道のり
---プロを意識し始めた時期はいつ頃ですか?
中学3年生のときですね。
夏に初めて海外モナコにサマー留学に行き、ヨーロッパはクラシックバレエの本場であり、その本場の演技を観て感動、刺激を受けました。
コンクールでの演技では表現しきれないものがあるということに気付かされ、クラシックバレエに対する意識が変わり、プロへの道を志すようになりました。
---プロになるためには?
日本と海外ではプロになるためのプロセスが違います。
日本では国際コンクールにチャレンジし、バレエ団やバレエカンパニーからオファーを受けることでプロへの道が開けるというのが一般的だと思います。
私もニューヨークであった国際コンクールに出場したことで、ニューヨークのいくつかのバレエ団からオファーがありました。
しかし、私はバレエ学校に行きたいという思いから、今いる地と同じドイツのドレスデンにあるパルッカシューレというバレエ学校に行くことを決めました。その後、現在の所属先であるドイツのSemperoper Ballett Dresdenに研修生として契約が決まりました。
1年間は研修生として活動をし、さらにもう1年間を研修生の上のゲストコントラクトとして活動しました。
それを経て、プロになることを考えたときに、オーディションを受けることを決意しました。
オーディションを受けるために、募集のあるところに手当たり次第連絡を取りました。
連絡してもインビテーション(招待)が来ないと受けることすらできません。
30件以上連絡を取りましたが、インビテーションが来たのは3つか4つでした。
ロシアのバレエ団から招待があったのですが、その頃にはドイツのこの地で経験を伸ばしていきたいという思いが芽生えており、所属先に自分の思いを伝えた結果、無事に正団員になることができました。
海外での生活
---ドイツでの生活で驚いたことや困ったことはありますか?
やはり最初は言語の壁がありました。
若いと英語が喋れる方もいるのですが、買い物などに行くと店員さんとの会話はやはりドイツ語になるので…
しかし、ドイツの方の性格は日本人に似ているところがあると思います。
海外の方は時間にルーズだというイメージがあったのですが、ドイツ人は日本人のように時間を守るので、その辺は馴染みやすかったです。
---食事が合わなかったりはしませんでしたか?
食事は基本的には自炊をしていているので、問題ありませんでした。
一時帰国のときにスーツケースいっぱいに食材を詰めて持って帰り、それを使いながら日々自炊をしています。
---日本への一時帰国は年に何度くらいされますか?
大体年に2度、夏と冬ですね。
夏は6週間も休みがあるため、長期にわたって日本に滞在できます。冬は1週間程度です。
---プロバレエダンサーとしての日々の生活はどのようなスケジュールですか?
基本的には週1日、日曜日が休みで、それ以外は朝10時から夕方18時まで練習があります。
昼休みが1時間ありますが、それ以外は動きっぱなしです。
10時からの1時間15分は基礎をし、それ以降は各クラスに分かれてのリハーサル練習となります。
---休みの日はどのようにお過ごしですか?
休みの日は…あまり出掛けませんね…(笑)
犬がいるのでいつもより長めに散歩したりしてのんびり過ごしています。
それがリフレッシュになりますね。
今後の活動について
---今後はコンクールに出場する予定はありますか?
プロとして舞台で求められる演技とコンクールで求められる演技は違います。
コンクールで求められるものは、点数や評価であり、スポーツに近いものがあります。
クラシックバレエは身体芸術であり、点数ではないと私は考えます。
なので、今はコンクールへの出場ではなく、舞台で観客を魅了できる演技をしたいと思っております。
---舞台はどれくらいの頻度であるのでしょうか?
舞台は多いときは週に4日あります。
特に12月のクリスマスシーズンは、皆さんもご存じだと思うくるみ割り人形が人気で舞台数も多くなります。
今後の目標
---今後の目標は?
ドイツに来たことで日本にいたときに憧れていたダンサーを身近に観る機会が多くあり、そこから学ぶことも多くあります。
その学びをすべて吸収し、自らも表現できるようになり、日本の舞台で表現し踊ることが目標です。
また、日本ではクラシックバレエは『お金持ちがするもの』というイメージが強いと感じます。私自身、そんなお金持ちでもない一般家庭で育ってきたため、そういうイメージを持たれていることがすごく嫌で、払拭していきたいと考えています。
ドイツでは学校に通うのと同じようにバレエ学校に通えますし、映画を観に行く感覚で舞台も観に行くことができるのです。
日本でもそういう風にバレエをもっと身近な存在にしていけるように働きかけていきたいと思います。
そして、バレエを知らない人たちにも知ってもらえるようにしていきたいと思います。
---その目標を達成するための具体的な策を考えていたりしますか?
日本で招待されて舞台に立つダンサーは、コンクールで成績を残しているような有名な方々ばかりです。
しかし、私はコンクールの結果だけでは判断できないような素晴らしいダンサーは数多くいると思いますし、そういうダンサーがもっと注目してもらえるような場を増やしていきたいと考えています。
ドイツで一緒に活動している日本の友人と2人で『舞台を作りたいね』という話はしています。
そうすることで日本でのバレエに対する視野や可能性を広げていけると思っています。
そして、これはまだまだ先の話にはなると思うのですが、自分のバレエ教室を開き、次世代の育成にも関わっていきたいと思っています。
まとめ
日本のクラシックバレエ界の歴史を大きく変えていくであろう山田さんの考えにすごく共感しました。
ドイツで得た経験や知識を日本の舞台で表現してくれる日を私も楽しみにしております!
そして、山田さんに負けないように私自身もフィンスイミングでの活躍、普及に努めていきたいと思いました。
山田さんが日本で舞台に立たれるときには、観に行きたいと思います!
今後に活躍も応援しております!