
オリンピック・W杯種目の日本代表がクラファンで遠征費を集める「違和感」とは?
はじめに
近年、クラウドファンディングはスポーツ界でも広く普及し、マイナースポーツや個人アスリートが活動資金を調達する手段として定着してきました。しかし一方で、オリンピックやワールドカップ種目といった「国際的にメジャーであり、組織基盤も整っているはずの競技団体」までもがクラウドファンディングを用いて日本代表選手の遠征費を募る事例が増えています。この状況に、ファンやスポンサーから「なぜ?」という違和感の声も上がっています。
違和感の背景
1. 公的支援と組織体制の存在
オリンピックやワールドカップ種目の競技団体は、JOC(日本オリンピック委員会)や各種協会からの補助金、スポーツ庁からの強化費など、一定の公的支援を受けているはずです。そのため「そもそも代表選手の遠征費が自己負担になるのはおかしいのでは?」という疑問が生まれます。
2. スポンサーとの関係性
大手競技団体にはすでにスポンサー企業が存在します。にもかかわらずクラウドファンディングを通じて一般ファンから資金を集めることは、「スポンサーからの支援はどこに消えているのか?」という不透明さを感じさせてしまいます。
3. ファンとの温度差
クラウドファンディングは「応援したい気持ちを形にできる」仕組みとして有効です。しかし、国際大会で活躍する代表選手に対して「まずは競技団体が責任を持ってサポートするべきでは?」という声がファンの間で出るのは自然です。
本来のクラファンの役割とのズレ
クラウドファンディングは、制度的に支援が届きにくいマイナースポーツや、新たな挑戦をする個人アスリートの「夢を後押しする」役割が本質です。メジャー競技団体による多用は、この役割の希薄化を招き、結果的に「クラファン疲れ」を生むリスクもあります。
では、どうすべきか?
1. 競技団体の透明性強化
代表選手の遠征費や強化費の使途を公開し、なぜクラファンが必要なのか明確に説明することが重要です。
2. クラファンの位置づけを再整理
遠征費の穴埋めではなく、「競技普及プロジェクト」や「次世代育成プログラム」など、未来への投資にクラファンを活用することが望ましいでしょう。
3. ファンが納得できる仕組みづくり
支援者には「資金の行き先」と「成果の報告」を丁寧に伝えることで、応援する喜びを実感してもらう必要があります。
まとめ
オリンピックやワールドカップ種目のメジャー競技団体がクラファンを活用する現状には、多くの人が違和感を抱いています。その背景には「本来組織が担うべき責任」「支援の不透明さ」「クラファンの目的のズレ」があります。クラファン自体は悪ではなく、むしろスポーツ界にとって重要な仕組みです。しかし、それをどう活用するかによって、ファンやスポンサーの信頼を得るか失うかが大きく分かれるのです。
Find-FCとの対比:本当に必要なクラファンとは
クラウドファンディングの本来の意義は、制度やスポンサーの支援が届きにくいアスリートを後押しすることにあります。
その代表例が、マイナースポーツ選手の活動資金をサポートする「Find-FC」の仕組みです。
Find-FCでは、アスリート一人ひとりが自らの挑戦や夢を発信し、ファンや企業がダイレクトに支援できる環境を整えています。例えば、スカイランニングやジャンプロープといった競技では、強化費やスポンサーが不足しがちで、クラファンの存在が“挑戦の生命線”となっています。
このように、「資金が届かない領域を支える」ことこそクラファンの本来の姿です。
オリンピック・W杯種目の競技団体が活用する際も、単なる遠征費補填ではなく、「競技の普及活動」「次世代育成」「地域連携プロジェクト」など未来志向のテーマに活用するべきではないでしょうか。
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