医師 × フットゴルフ選手の二刀流に学ぶ、アスリートの新しいキャリアの形

2025.10.16

白衣を着た医師が、ゴルフ場でサッカーボールを蹴る。そんな異色の光景が、今注目を集めています。リハビリ科の医師として働きながら、フットゴルフのプロ選手として日本代表を目指す森末菜々選手の挑戦は、引退後のセカンドキャリアに悩むアスリートにとって、大きなヒントとなるでしょう。

アスリートのキャリア形成において、「競技一本」という選択肢だけが正解ではありません。むしろ、複数の専門性を持つことで、より豊かな人生設計が可能になる時代です。この記事では、YouTube「アスキャリ」で紹介された森末選手の取り組みを通じて、アスリートが持つ能力の汎用性と、新しいキャリアの可能性について詳しく解説していきます。現役アスリートはもちろん、アスリート採用を検討する企業の方々にも、参考になる内容となっています。

わずか1年でプロ選手に。驚異的な成長を支える「アスリート力」

森末選手がフットゴルフを始めたのは、動画収録時点からわずか1年前のこと。小学生時代にサッカー経験があったとはいえ、新しい競技でプロレベルに到達するスピードは驚異的です。現在、日本ランキング5位という成績を収め、ワールドカップ出場圏内である6位以内に位置しています。

この急成長を支えているのが、アスリート特有の能力です。森末選手は研修医時代から競技と仕事を両立させており、夜勤明けにそのまま練習に向かうという体力とメンタルの強さを持っています。隙間時間を最大限に活用し、効率的にスキルを磨く姿勢は、まさにアスリートならではの特性といえるでしょう。

アスリートが持つ「目標設定能力」「時間管理能力」「継続力」は、どんな分野でも通用する普遍的なスキルです。森末選手のケースは、これらの能力を新しい領域で発揮することで、短期間での成長が可能であることを証明しています。

フットゴルフとは?サッカーとゴルフが融合した新競技の魅力

フットゴルフは、ゴルフ場でサッカーボールを蹴ってプレーする競技です。道具を使わず、足だけでボールを運び、通常のゴルフカップより大きい専用カップ(ボール2個分、通常カップの約4.7倍)を目指します。

森末選手が使用するのは、マレーシア製のフットゴルフ専用ボール。サッカーの5号球に近いサイズですが、肉離れなどのケガを防ぐため、通常のサッカーボールとは異なる設計になっています。彼女の右足は、ゴルフでいうドライバー、アイアン、ウェッジ、パターの全ての役割を担い、ティーショットでは70ヤードほどの飛距離を出すことができます。

18ホール(全てパー5と仮定)を回る間に、70回から90回のキックを行い、その中には全力のキックも含まれます。これは相当な体力を要する競技であることが分かります。

森末選手がこの競技に魅力を感じる理由は3つあります。

まず、ゴルフ場という自然豊かな環境でプレーできること。次に、医療関係者という限られたコミュニティから抜け出し、様々な価値観を持つ人々と交流できること。そして最後に、新しい挑戦を通じて自己成長を実感できることです。

現在、日本でフットゴルフを1回でもプレーしたことがある人は約2万人。まだまだ競技人口は少ないものの、だからこそ参入しやすく、トップレベルを目指せる可能性があります。森末選手は日本代表を目指すとともに、この競技の普及活動にも力を入れており、Instagramで関東ツアーやエンジョイ大会などの情報を発信しています。