アスリートが新たにクラウドファンディングで遠征資金を集める際に…既存スポンサーへの“礼儀”とは？

遠征費や活動費の高騰により、クラウドファンディング（以下クラファン）を活用するアスリートは年々増えています。一方で、すでにスポンサー契約や物品サポートを受けているアスリートが新たにクラファンを実施する場合、既存スポンサーへの配慮や礼儀を欠いてしまうと、信頼関係が損なわれるリスクがあります。

今回は、クラファン開始前にアスリートが必ず押さえるべき「既存スポンサーへの礼儀とマナー」を整理します。

1. まず“最初の一報”を入れる：事前連絡は絶対に必要

スポンサーにとって、アスリートの活動は“投資”であり“応援”でもあります。

そのため、クラファン開始を知らないままSNSで告知が流れてくると
「うちの支援では足りなかったのかな？」
「事前に相談してほしかった」
と不信感につながりかねません。

最低限、クラファン開始前に「事前報告」と「意図の説明」を行うことが礼儀です。

《連絡内容の例》

• 今回の大会・遠征の背景
• 必要資金と現状の不足額
• なぜクラファンを選ぶのか
• スポンサーへの負担を増やす意図はないこと
• 公開予定日や期間

この“たった一報”で、スポンサー側の印象は大きく変わります。

2. 「既存サポートの否定」と受け取られない表現にする

クラファンページやSNS告知では、つい
「遠征費が足りません」「資金が不足しています」
と書きがちです。

しかし、その表現がスポンサーには
「うちの支援は不十分だったと言われている？」
と誤解される可能性があります。

《ポイント》

• “不足”ではなく“挑戦を広げるための追加支援”と表現する
• 既存スポンサーの支援があるから挑戦できていることを明記する
• 決してマイナスを理由にしない

クラファンは“支援の輪を広げる活動”であり、既存支援の否定ではないことを丁寧に伝えましょう。

3. 既存スポンサーへの特別な感謝・配慮を見せる

クラファン開始にあたり、
既存スポンサーへの敬意や特別な扱いを明確に示すことは大切です。

《例：できる配慮》

• クラファンページに「既存スポンサー一覧」を掲載（了承を得て）
• スポンサーへの追加特典（例：クラファンページでの特別紹介）
• 公開初日に個別連絡し「ページ掲載しました」と報告
• 達成後は最初にスポンサーへ結果報告

スポンサー企業は「大切にされているか」を見ています。
こうした“わかりやすい形”の配慮は、関係維持に非常に有効です。

4. 既存スポンサーの業種とクラファンのリターンが“競合”しないように注意

クラファンのリターンに商品提供やサービス体験を入れる際、
既存スポンサーと同業種になってしまうとトラブルの原因になります。

《よくあるNG例》

• 既存の飲食店スポンサーがいるのに、他の飲食店の食事券をリターンにする
• 同じ競技用品のブランドが支援者になっているのに、別ブランドのアイテムを返礼品にする
• 既存スポンサーの扱っているサービスを、リターンで無意識に被らせてしまう

競合になるリターンは避けるか、必ず事前相談を行うことが必要です。

5. 既存スポンサーとクラファン支援者の“線引き”を明確にする

あるスポンサー企業はクラファンのことを
「スポンサーなのに、さらに寄付を求められているように感じる」
と受け取る場合があります。

そのため、
“クラファン＝スポンサーとは別軸の応援方法”
であることを明確に伝えましょう。

《例：説明文》

「既存スポンサー様のご支援のおかげで、日々の活動環境は整っています。
今回のクラウドファンディングは、より多くの方に遠征挑戦の機会を共有し、
応援の輪を広げるための“追加プロジェクト”として実施しております。」

こうした一文だけで、スポンサーの心理的負担は大きく減ります。

6. 達成後の報告は“最優先でスポンサーに”

クラファン達成後は、SNS報告が先になりがちですが、
一番に連絡すべきは既存スポンサーです。

• どれくらいの人数が支援してくれたか
• 達成率
• 遠征にどのように充てるか
• スポンサーへの改めての感謝
  これらを丁寧に伝えることで、
  「支援してよかった」と安心と喜びを感じてもらえます。

よくある“スポンサー側の本音”

アスリートが思っている以上に、スポンサー側は“気持ち”で支援しています。

• 「うちに一言もなくクラファンを始めていて驚いた」
• 「SNSで知るのではなく、事前に教えてほしかった」
• 「リターンがうちと競合していて複雑だった」
• 「クラファンでお金が集まっているなら、うちはもう不要？」

こうした“ちょっとした誤解”が大きな解約につながるケースもあります。

アスリートは常に、スポンサーの気持ちに寄り添った行動が求められます。

まとめ：クラファンは「資金集め」ではなく「関係性構築」

クラファンは単に資金調達の手段ではなく、
スポンサー・ファンとの関係性をさらに深める絶好の機会です。

そのためには、

• 事前報告
• 表現の配慮
• リターンの競合チェック
• 達成後の丁寧な報告
  この4つが欠かせません。

アスリートにとってスポンサーは“大切な味方”です。
クラファンによって関係が揺らぐのではなく、
むしろ強固になるよう丁寧に進めていきましょう。

Find-FCができること

Find-FCでは、

• スポンサーへの事前説明文テンプレート
• クラファン開始前のリスクチェック
• リターン内容の競合確認
• スポンサー別の配慮ポイント診断
• 契約面での注意点のアドバイス
  など、アスリートのクラウドファンディング実施を“伴走型”でサポートしています。

既存スポンサーと良好な関係を保ちつつ、
クラファンを成功させるための相談も随時受け付けています。