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ボクシングで世界を目指すアスリート 李 鎮宇(リ ジヌ)選手とは

ボクシングで世界を目指すアスリート 李 鎮宇(リ ジヌ)選手とは

こんにちは!南半球のオーストラリアで冬を過ごしている競技チアリーディングの笠原園花です。日本の夏が恋しいです。

さて、今回はボクシングで世界を目指す!と意気込みを語ってくれたボクシングの李選手にお話を伺いました。世界の頂点を目指したい、と熱く語るその理由に迫りました。

李選手の自己紹介

1996年4月15日生まれ。「ディズニーランドと同じ誕生日です」と少しお茶目な性格ももつ。高校の部活動でボクシングを始め、駒澤大学を卒業後の現在はプロボクサーとして活躍している。また日本語の他にも韓国語を話すバイリンガルアスリートでもある。

ボクシングとの出会い

ボクシングとは半ば強制的な出会いだった。在日韓国人というバックグラウンドを持つため、東京朝鮮高校に進学。ラグビーやサッカーが強いことで有名であったが、どちらもやったことがなかったため、入部には興味が沸かなかった。そこで、先輩からの誘いを受けボクシング部の練習を見学した。ボクシングのボの字もわからないくらい無知であったため、見学してもあまりピンとこなかった。

しかし、見学後に部の先生から「ボクシングに入りなさい」とほぼ強制的に入部を要求され、「3年間くらいならいっか」と軽い気持ちでボクシングを始めることになった。

ボクシングにスイッチが入った瞬間

入部してからというものの、ボクシングの技術には直結しない走り込みや筋トレが続き、正直モチベーションが高いとは言えず辛いと思うことが多かった。

しかし、高校2年生の時に観戦しに行ったプロボクシングの試合が人生を変えることになる。それは、後楽園ホールで開催された東京朝鮮高校と東北朝鮮高校の卒業生2人が日本タイトルを争うという歴史的な試合だった。初めて生でボクシングの試合を見て、その会場の雰囲気に圧倒された。パンチを決めた時に一斉に立ち上がったり歓声をあげたりする観客……。「こんなに多くの人に声援をもらえる競技なのか……僕もプロになって大勢の前で試合をしたい。」

この思いが消えることはなく、練習にも身が入るようになった。

部活動とボクシングジムの両立

「将来プロになる」という強い思いから、部活動だけでは物足りず、地元埼玉県の強豪クラブ『角海老宝石ボクシングジム』に入会した。

部活の朝練が7時30分〜8時20分、その後学校で授業を受け、部活の練習を16時〜19時までこなし、20時〜21時30分まではジムでの練習。そしてまた朝練へ……

このハードなスケジュールを高校卒業まで続けた。目標が明確だったため、大変だと思うことは一度もなかった。また、ジムではテクニック重視の練習スタイルだったため、ジムでインプットし、部活動でアウトプットするというバランスの良い練習が可能だった。

日本代表レベルの環境で

駒澤大学進学後もボクシングに熱中するものの、レベルの高さに悔しさを覚えることも多くなった。同大学の部活動の同期の中には、日本代表経験のある選手もいたりとレベルが高かった。1年生の頃は「レベルの高い環境で頑張るぞ」と周囲のレベルの高さに刺激を受けられることをポジティブに考えていた。しかし、2年生になると、後輩として入部してきた部員との実践試合に負けることもあり、劣等感を抱くようになった。

「どうしたら勝てるか」を考え、スタミナを増やすことにまずはフォーカスした。大学ボクシングは高校のそれに比べ、ラウンド数が多い。そのため、体力が重要なカギを握るのではと思いついたからだ。

やみくもに練習をしているだけでは負ける。頭を使って今自分に何が足りないかを考え、それを補うためにはどのような練習が必要か考えるようにしている

新人王を目指して

高校2年生の時の後楽園での試合観戦以来抱き続けていた「プロ」の夢。大学卒業後にその夢を叶えた。初試合を2019年8月9日に控えている。試合場所は後楽園ホール。あの時と同じ場所で、大勢の前で勝利を収めることが今の大きな目標だ。

デビュー戦で勝てば、新人王にグッと近づく。新人王を獲得すると12位までしかない日本ランキングにもランクできる仕組みなので日本チャンピオンの夢にもぐっと近く。

プロになってからは、パンチ力で相手に負かされないようにするため、ボクシング専用のパーソナルトレーナーをつけてフィジカルトレーニングの量を増やした。相手と同じ体重という条件であれば、体の強さや力の伝え方が重要だと考えるからだ。また、パーソナルトレーナーをつけることで自分では気づかない体の動き方も修正できる。競技中の動きの質を上げるためにはとことんこだわる

世界を見据えて

高校時代から通うジムには、アメリカのトップ選手や世界チャンピオンも所属する。そのため、常日頃トップ選手たちと触れ合い、実戦形式の試合をする機会がほかの選手に比べて多くあるが、全く歯が立たない。だからこそ、世界の壁が高いことも十分認識している。「肘で顎をさわる」のと同じくらい世界チャンピオンのタイトルを獲得するのは難しい。それでも、職業としてボクシングを行っている以上は目指さなければいけないゴールだと考えている。

まとめ

インタビューで頻繁に出てきた、「頭を使う」という言葉。その言葉通り、「頭を使い、全ての動作に理由付けをしながら動きを身につける」ことが何よりも重要だと考えている李選手は、ボクシングをロジカルに捉えることで他の選手との差別化を図っている。このロジカル戦略で、8月のデビュー戦での勝利を期待したい。

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