【アーティストインタビュー】ヴァイオリニスト・西浦詩織さんの魅力に迫る!

クラシックを軸に、オーケストラとの共演やデュオ、室内楽、ライブ、レコーディングなど、ジャンルの垣根を越えて活動するヴァイオリニスト・西浦詩織さん。

オリジナル曲の演奏に加え、詩集を出版するなど言葉による表現にも取り組み、その活動は多岐にわたります。
2025年には第一子を出産。現在は1歳のお子さんを育てながら、少しずつ演奏活動を再開しています。
2歳からヴァイオリンとともに歩んできた西浦さんにとって、出産は人生で初めて長期間楽器から離れる経験でもありました。
ヴァイオリンとの出会いから出産後の変化、そしてこれから届けていきたい音楽について伺いました。

クラシックだけじゃない、幅広い音楽活動

――現在は、どのような活動に力を入れているのでしょうか?

昨年出産して、今は1歳の子どもを育てながら少しずつ復帰しているところです。

これまではクラシックだけでなく、デュオや室内楽、さまざまな方とのリサイタルなどを行ってきました。洋楽や映画音楽を演奏することもありますし、オリジナル曲もあります。

また、私は朗読や言葉で発信することも好きで、詩集も出版しています。妊娠前には、詩と音楽を組み合わせたコンサートもやりたいと考えていたので、今後少しずつ進めていきたいですね。

ーーーすごく幅広く活動されていますよね!何をきっかけにヴァイオリンを始めたのですか?

母がヴァイオリンをやっていて、家に集まる人も音楽関係の方ばかりだったんです。周りのみんなが音楽をやっているような環境だったので、「私も早くやりたい」と思って2歳から始めました。

ーーーなんと!そんな小さいころからヴァイオリンを弾いているのですね。発表会なんかもあったのですか?

はい、3歳で初めて発表会に出たのですが、「ラ」だけで『きらきら星』を弾いたそうです(笑)。最初は上手に弾くことよりも、とにかく楽しくヴァイオリンに触れることを大切にしていました。

幼い頃からヴァイオリンが身近にあった西浦さん。
ここからは子どもの頃の夢や現在の西浦さんが大切にしていることを伺いました。

将来の夢は「自転車の車輪」?

ーーー子どもの頃から、ヴァイオリニストになると思っていたのでしょうか?

いつからプロになりたいと思っていたのかは、あまり覚えていません。
でも小学生くらいには、「自分はこのままヴァイオリンをずっと続けるんだろうな」と、どこかで思っていた気がします。

音楽をやっている両親を見て育ったので、他のものになりたいと思うことはあっても、音楽を続けている自分は自然に想像していました。

ーーーちなみに、他になりたかったものは?

自転車の車輪です(笑)。
砂利道を走るときの「ゴトゴトゴト」という音や、段差でガタンとなる感じが大好きだったんですよ。

ーーーまさかの車輪(笑)。でもそういう「音」に気が付くってとても音楽家さんぽい感性ですね。

あはは、そうかもしれないです。

ーーー現在、周りからはどんな人だと言われますか?

最近、「そこにいるだけで場を明るくしてくれる」「しおりちゃんに会うといいことが起こる。パワースポットみたいだね」と言っていただいたことがあって、それはすごく嬉しかったです。

ーーーそれは嬉しいですね!でも確かに、西浦さんと話していると力をもらえる感じがするので納得です。
ご自身で、ヴァイオリニストとしての強みはどのあたりだと思いますか?

演奏でいうと、私の強みは「届けたい」という思いだと思っています。
ヴァイオリンが上手な方は本当にたくさんいます。だから私は、音に思いを乗せて、来てくださった方の心が動く瞬間を作りたいと思って演奏しています。

西浦さんにとって、コンサートを作るのはステージ上の演奏者だけではありません。
客席にいる人も含め、その日、その場所に集まった全員で一つの空間を作っているといいます。

 

ーーー「一瞬を、一音を、共に。」というキャッチコピーにも、その思いが込められているのでしょうか?

そうですね。
コンサートに来てくださる方にとって、その時間は本当なら別のことにも使えた時間ですよね。それでも時間やお金を使って、この場所を選んでくださっている。
だから「今日来てよかった」「明日からまた頑張ろう」と思ってもらえたり、「あの人にありがとうって伝えてみよう」と思ってもらえたり。
どんな形でもいいので、何か一つ、その人の心が動く瞬間を作れたらいいなと思っています。

出産で初めて、半年間ヴァイオリンから離れる

2歳からヴァイオリンを始め、楽器を弾くことが当たり前だった西浦さん。
出産を機に、その日常が大きく変わります。

ーーー出産後は、どのような生活になりましたか?

最初は本当に育児中心で、数時間おきに授乳するような生活でした。半年くらい楽器を弾けない時期もあって。
そんなに長い間ヴァイオリンを弾かなかったのは、人生で初めてでした。それまでは1〜2週間弾かなかったことすら、ほとんど記憶にないくらいです。
久しぶりに持ったときは、「楽器ってこんなに大きかったっけ?」「どうやって弾くんだっけ?」というところからでした(笑)。
身体も変わっていますし、以前の自分に戻るというより、新しい自分でもう一度始めたような感覚でした。

ーーー半年間弾けない中で、不安になることもありましたか?

ありましたし、今もあります。本番が終わって「できなかった」と落ち込むこともあります。
以前ならできていたことができないと、「こうじゃないとダメ」と思ってしまうんですよね。
ステージに立つというのは、やっぱり特別なことです。来てくださる方から時間やお金、会場まで来る労力もいただいて、その時間と空間ができています。
だからこそ、「もっとこうしたかった」と自分を責めてしまうこともあります。
でも落ち着いて考えられるときには、「前と違っても、今の自分だからこそ良くなった部分もある」と思えるようになってきました。
今も、以前とは違う自分と向き合っている途中なのかなと思います。

ーーー出産前の自分と比べて、悔しくなったり落ち込んだりしてしまう気持ちはよくわかります。
活動を休むこと自体にも不安はありましたか?

コンサートができなくなることを発表したときは、「このまま忘れられちゃうんじゃないか」と、すごく不安でした。

演奏活動から半年も離れていたら、お客さまだけでなく、一緒に演奏してきた方たちからも忘れられてしまうんじゃないか。「今はあまり弾いていないから、仕事に誘わない方がいいかな」と思われて、声がかからなくなってしまうんじゃないかって。

ーーー実際はいかがでしたか

いい意味で、全然違いました。
同業の方たちは変わらず声をかけて、私を信じて仕事を回してくださったんです。

お客さまからも、「出産を経験した西浦さんが、これからどんな音楽を聴かせてくれるのか楽しみにしているよ」と言っていただいて。
私は「以前と同じように弾ける自分に戻らなきゃ」と思っていた部分もあったけれど、周りの方たちは、以前と同じ私を待っていたわけではなかったのかもしれません。

出産を経験して変わった今の自分も含めて、また音楽を聴きたいと思ってくださっている。
そう思えたことは、復帰していくうえですごく支えになりました。

ーーーそれは……泣きそうになりますね。

私は何度も泣きました(笑)

ーーー今お子さんは保育園に通っていると伺いましたが、練習はその間に?

はい、保育園に行っている時間や、寝かしつけが終わったあとなどに練習しています。

ーーー寝かしつけ後の練習とは、なかなかハードですね。

そうですね、でも時間が限られているからこそ、「この時間で何ができるだろう」と考えて動けるようになりました。
楽器を弾けない時間にも「次はこういう練習をしよう」と頭の中で考えておいて、時間ができたら行動する。パズルを組み立てるような感覚です。

スポンサーと一緒に、新しいことに挑戦したい

演奏だけでなく、ステージで身にまとう華やかな衣装も印象的な西浦さん。

ーーーステージで着ているドレスも素敵ですよね。衣装はどのように選んでいるんですか?

いろいろなところで購入しています。気に入ったものは長く着ていて、高校生の頃から着ているものもあります。

中でも特別なのが、着物から作っていただいたドレスです。いくつか候補を見せていただいて、その中から着物を選んで、ドレスに仕立てていただきました。着物を切って作っているので、世界に一着しかないドレスなんです。

ーーー今後スポンサーさんの支援を通して実現してみたいことはありますか?

私が面白そうだなと思っているのは、スポンサーの方と一緒に新しいことを作ることです。
これまでのアーティスト活動は、自分の中で閃いたことを形にしてきました。でも、支援してくださる方に「こんなことをやってみたい」というアイデアがあれば、そこに私の思いを乗せて届けてみたいんです。
そうすることで、スポンサーの方にとっても私にとっても、今までとは違う場所に進めたり、新しい発見ができたりするんじゃないかなと思っています。

ーーーそれは面白そうですね。西浦さん自身が、これから挑戦してみたいことはありますか?

直近でいうと、ファミリーコンサートをやってみたいです。

実は子どもが生まれるまでは、ファミリーコンサートを特別やりたいと思っていたわけではなかったんです。でも自分に子どもができて、「子どもを連れて行けるコンサートって、どこにあるんだろう」と思うようになりました。

ーーー私も4歳の子どもがいるのですが、音感が育つといいなと思って、子連れで行けるコンサートを探していた時期がありました。

そうなんですね。ただ普通のコンサートだと、子どもを連れて行っていいのか分からないんですよね。
「ファミリーコンサート」と書いてあって、初めて「ここなら子どもと一緒に行ける」と思える。
そう考えると、音楽を必要としていても、まだ届いていない人がいるんじゃないかと思うようになりました。

ーーー確かに・・・。産後は音楽との接点自体、少なくなっていたような気もします。

そうそう、そういう方たちにこそ音楽に触れる機会を持ってもらいたいんです。
子どもたちや老人ホームにいる方など、普段コンサートに足を運ぶ機会があまりない方が集まる場所で演奏することも好きなんですよ。ホテルのロビーとか、日常の中で偶然、生の音楽と出会える場所もいいですよね。

そこで音楽に触れたことをきっかけに、「今度はコンサートで聴いてみよう」と思ってもらえたらうれしいです。
そんなふうに、音楽と出会って、そこからまたコンサートへ足を運んでもらえるような循環を作っていけたらと思っています。

そんな西浦さんがこれからどんな音楽を届けてくれるのか、ますます楽しみになったところで、今回のインタビューを終えました。

あとがき

出産という大きな環境の変化を経ても、今の自分と向き合いながら、一歩ずつ前へ進み続ける西浦さん。

子育てと音楽活動を両立するだけでも簡単なことではないはずです。
それでも、以前の自分にただ戻ろうとするのではなく、出産を経験した今だからこそ生まれる音楽や、新しい届け方を模索している姿がとても印象的でした。

同じ女性として、そして母としてお話を聞きながら、私自身も背筋が伸びるような思いがしました。

そして何より印象に残ったのが、西浦さんご本人の人柄です。
ステージに立つ姿は華やかで凛としていて、思わず見惚れてしまうほど。それなのに実際にお話ししてみると、とてもフランクで親しみやすく、自然とこちらまで明るい気持ちになります。

インタビューの中で、周囲から「いるだけでその場が明るくなる」「パワースポットみたい」と言われたことがあると話してくれましたが、お話を終える頃には、その言葉にとても納得していました。
きっと西浦さんの魅力は、ヴァイオリンの音色や演奏技術だけではなく、「この人を応援したい」と自然と思わせる、その人柄にもあるのだと思います。

母になり、これまでとは違う自分と出会いながら、音楽を届ける相手や場所も少しずつ広がっている西浦さん。
これからどんな人と出会い、どんな経験を重ね、そしてどんな音楽を届けてくれるのでしょうか。

ここからさらにパワーアップしていく西浦さんの姿を楽しみに、これからの活動も応援していきたいと思います。

ヴァイオリニスト・西浦詩織さんを一緒に応援しよう!

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西浦詩織さんプロフィール
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