
海外挑戦がアスリートの可能性を広げる:ハンドボール選手のドイツリーグ挑戦から学ぶキャリア構築
世界レベルでプレーする。多くのアスリートが抱く夢ですが、その実現のためには何が必要なのでしょうか。今回は、中央大学を卒業しハンドボール日本リーグのZEEKSTAR TOKYOに入団した選手のドイツリーグ挑戦の経験から、アスリートのキャリア構築について考えます。
この記事では、海外挑戦を経験した若手選手の体験談をもとに、日本のスポーツ界における海外挑戦の意義、そのための支援体制の重要性、そしてアスリートとしてのセカンドキャリアにつながる道筋を探ります。これからの進路を考えるアスリートや、アスリート採用に関心のある企業の方々にとって、新たな視点を提供できるでしょう。
日本からヨーロッパへ:大きな決断と挑戦
大阪出身で東京の大学に進学することさえ悩んだという選手が、さらに大きな一歩を踏み出したのは大学在学中のこと。日本代表として活躍していた彼に、ドイツリーグからオファーが届きました。
「友人もいない状態でヨーロッパに行くのは、本当に大きな決断でした」
言葉も通じない異国の地での挑戦。最初は緊張の連続だったといいます。しかし、そんな環境にも「適応するしかない」という前向きな姿勢で臨み、限られた英語力を駆使してコミュニケーションを取る努力を続けました。
チームへの溶け込み方も工夫したようです。時には勢いで日本語で話しかけたり、チームメイトの家でゲームをしたり、ドイツ名物のビールを共に楽しんだりしながら関係を築いていったとのこと。幸運にも、以前日本人選手と同じチームだった選手がいて、少し日本語を話せる仲間がいたことも助けになりました。
日本とヨーロッパのレベル差から見えた強み
ヨーロッパのハンドボールレベルは、日本の日本リーグと比較して「かなり高い」と彼は実感します。特に印象的だったのは選手の体格差。
「ヨーロッパの選手は190cm〜2mが普通。その大きな体が動ける上に、ハンドボールのスキルも高い。日本のトップ選手は180cm程度なので、体格面で全く違います」
こうした圧倒的な体格差がある中で、彼は自分の強みを見出しました。
「日本人選手として活躍するには、自分のスピードやアジリティが武器になると気づきました。これは今後も磨いていきたい強み。長身選手へのアジリティ勝負は日本人が得意とするところです」
現地での努力は実を結び、リーグ戦では活躍の機会を得て、リーグ後半戦ではポジション別の週間ベストセブンに選出されるほどの成果を上げました。
若手アスリートの海外挑戦を支える新たな取り組み
こうした海外挑戦には、金銭面での大きな壁があります。ドイツでプロ契約を結んだ彼も、最低限の生活費は支給されたものの、渡航費などは自己負担だったといいます。ヨーロッパで活動する日本人選手の多くが、この金銭面での苦労を経験しています。
そんな状況を変えようと、中央大学ハンドボール部では画期的な取り組みを始めました。選手を支援するための一般社団法人を設立したのです。
設立の背景には、部の強化に伴う活動費の増加と、「ヨーロッパに挑戦したい学生を支援したい」という強い思いがありました。自己負担で海外に行くのは学生には非常に厳しいため、支援体制の構築が急務だったのです。
この法人では、主に企業からの寄付金や助成金集め、そしてファンクラブの設立を中心に活動。着実に資金が集まりつつあり、来年1月からは、ヨーロッパのクラブチームへの短期移籍費用を法人側が全額負担できる見込みだといいます。
海外挑戦を目指すアスリートへのアドバイス
- 自分の強みを明確にしておく(日本人ならではの特性を活かす)
- 語学の基礎力を身につけておく
- 文化の違いを楽しむ柔軟な姿勢を持つ
- 支援体制や奨学金制度などの情報を積極的に集める
- 失敗を恐れず、思い切って挑戦する勇気を持つ
日本スポーツ界の底上げにつながる海外経験
「日本がハンドボールで順位を上げ、オリンピックでメダルを取るためには、若い世代がヨーロッパのリーグに挑戦していくべき」と彼は強調します。
現在のサッカー日本代表のように、多くの選手が海外で活躍するようになれば、スポーツ全体のレベルアップにつながるでしょう。バレーボールも多くの選手がヨーロッパで経験を積み、そこで培われた「物怖じしない精神力」が日本代表の強さを支えています。
特にハンドボールのような身体接触のあるスポーツでは、190cm〜2mの選手とコンタクトしながらプレイする経験は、国内だけでは得られない貴重なものです。
中央大学の取り組みは、日本リーグを経由せずとも「中大からダイレクトに世界を目指せる」体制を整えつつあります。大学の部活動を支援する法人設立は、サッカーなどのメジャースポーツでは見られますが、ハンドボールでは非常に珍しい試み。日本の大学ハンドボール界での新しい取り組みとして、他の大学のロールモデルになることも期待されています。
アスリートのキャリア構築における海外経験の価値
【アスリートの皆さん、今すぐ行動を!海外挑戦のチャンスを掴もう】
海外での経験は、競技力向上だけでなく、将来のキャリアにも大きな価値をもたらします。
語学力とコミュニケーション能力の向上:異なる文化や言語の環境で培われるスキルは、競技引退後のビジネスシーンでも強みになります
問題解決能力の向上:慣れない環境での生活は、柔軟な思考と対応力を鍛えます
国際的な人脈の構築:世界各国の選手との交流は、将来のキャリアにおける貴重な財産になります
精神的成長:厳しい環境を乗り越える経験は、どんな場面でも活かせる忍耐力と自信を育みます
「ドイツに行ったことで、行かないと分からないものがあると感じました」という彼の言葉には、海外挑戦がもたらす価値が集約されています。
企業がアスリート採用で得られるメリット
アスリート、特に海外経験を持つアスリートの採用は、企業にとっても大きなメリットがあります。
アスリートが持つ強み | ビジネスでの活かし方 |
目標達成への強い意志 | 困難な課題にも諦めずに取り組む姿勢 |
チームワーク能力 | 組織内での円滑なコミュニケーション |
ストレス耐性 | プレッシャーの中でも冷静に対応 |
時間管理能力 | 効率的な業務遂行 |
海外経験(異文化適応力) | グローバルビジネスでの活躍 |
特に海外でプレーした経験を持つアスリートは、言葉や文化の壁を乗り越えた経験から、異なる環境への適応力や多様性への理解が深いことが多いでしょう。グローバル展開を目指す企業にとって、こうした人材は非常に貴重です。
アスリートのセカンドキャリア支援の重要性
スポーツコミュニティ株式会社では、アスリートのセカンドキャリア支援に力を入れており、YouTube番組「アスリートキャリア」の企画・運営をスタート。この番組は、新たなキャリアを模索するアスリートと、新たな人材を求める企業とのマッチングを目的としています。
アスリートの持つ能力や経験がビジネスの場でも大いに活かせることを社会に発信し、スポーツ選手のセカンドキャリア問題の解決に貢献しています。
公式HP:https://sports-community.co.jp/
YouTube「アスリートキャリア」: https://www.youtube.com/@Athletecareer
未来へつながるアスリートの挑戦
「まだファンは多くないです。皆さんのファンになってください」と謙虚に語る若き挑戦者。ZEEKSTAR TOKYOに加入したばかりの彼の直近の目標は、「今シーズン、リーグ1位でプレーオフに進出し、日本一を獲ること」。そして将来的には、「ヨーロッパの国の1部リーグに挑戦したい」という強い思いを持っています。
このような若者の挑戦と、それを支える新たな仕組みづくりは、日本のスポーツ界全体の発展につながるでしょう。アスリートが競技のみならず、キャリア構築においても輝けるような社会の実現に向けて、様々な取り組みが広がっています。
アスリートのキャリアに興味を持たれた方は、スポーツコミュニティ株式会社のYouTube番組「アスリートキャリア」をチェックしてみてください。アスリートの生の声や、キャリア構築のヒントが満載です。
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