
アスリートの可能性を広げる「短期移籍制度」—中央大学ハンドボール部の革新的な取り組み
現役アスリートにとって競技人生とその後のキャリアは切っても切り離せない関係にあります。特に大学生アスリートは競技力向上と同時に、将来の職業人生も見据える必要があります。今回は、中央大学ハンドボール部が実践する「日本リーグチームへの短期移籍制度」に焦点を当て、この取り組みがアスリートの競技力向上だけでなく、キャリア形成にもたらす価値について探ります。
大学生アスリートと社会人の架け橋となる短期移籍制度
大学スポーツと社会人(プロ)スポーツの間には、技術面だけでなく意識やプロ意識の面でも大きな隔たりがあります。中央大学ハンドボール部では、この隔たりを埋めるために画期的な取り組みを約5年前から導入しています。在学中の選手を日本リーグのチームに短期移籍させる制度です。これにより選手たちは学生の身分でありながら、プロの世界を体験できるのです。
他大学でも類似の取り組みは行われていますが、中央大学の特徴は複数の選手を同時に派遣していることです。この制度が始まった背景には、実方監督の先見性がありました。日本代表やアンダーカテゴリーの代表選手をさらに成長させるため、より高いレベルでの経験が必要だと考えたのです。
短期移籍で得られる3つの貴重な経験
この短期移籍制度を通じて、選手たちは単なる技術向上以上の価値ある経験を得ています。
1. プロ意識の吸収:
日本リーグでは練習の本気度が格段に違います。ミスに対する厳しさを肌で感じることで、学生選手たちは自分自身への要求水準を高めていきます。
2. 生活習慣の改善:
食生活や睡眠、休養に対する意識の違いを目の当たりにし、競技パフォーマンスを支えるライフスタイルの重要性を学びます。
3. 人間関係構築能力:
初めて入るチームに溶け込む力は、将来どんな職場に入っても役立つ社会人基礎力です。選手たちは挨拶や日常会話を通じて、短期間でチームに馴染む術を身につけています。
これらの経験は、競技を続ける上でも、将来社会に出てからも活きる貴重な財産となります。
選手選考プロセスと相互メリット
短期移籍の選手選考には二つのルートがあります。一つは日本リーグ側からの指名、もう一つは監督推薦です。日本リーグ側から声がかかる選手は、インカレやオンライン配信で実力を認められた証でもあります。
この制度の素晴らしいところは、大学側・選手側と受け入れる日本リーグチーム側の双方にメリットがある点です。大学側は選手の成長機会を得られ、日本リーグ側は若い有望選手の力を活用できます。
大学側・選手側のメリット | 日本リーグチーム側のメリット |
高いレベルでの実践経験 | 若い選手の新鮮な活力の獲得 |
プロの環境・意識の吸収 | 将来の有望選手の早期発掘 |
キャリアパスの可視化 | チーム状況(怪我人対応など)の改善 |
競技力とキャリア意識の同時向上
この短期移籍制度の真の価値は、競技力向上と将来のキャリア意識の両方を高められる点にあります。プロの世界を体験した学生たちは、自分の目標をより具体化させています。日本代表として世界で活躍すること、オリンピック出場、さらには競技の普及に貢献するといった大きな夢を抱くようになります。
同時に、自分の強みを客観的に認識できるようになるのも大きな収穫です。フィジカルの強さ、ディフェンス力、コミュニケーション能力など、自分のアピールポイントが明確になることで、将来のキャリア選択にも自信を持てるようになります。
日本スポーツ界全体への波及効果
この取り組みは中央大学ハンドボール部だけでなく、日本のハンドボール界全体、さらには他のスポーツにも良い影響を与える可能性を秘めています。若い時期に高いレベルで経験を積むことで選手個人のスキルが向上し、それが大学スポーツ全体のレベルアップ、そして日本のスポーツ界全体の底上げにつながっていきます。
このような取り組みが他大学や他競技にも広がることで、日本のスポーツの競争力向上とアスリートのキャリア支援が同時に実現できるでしょう。
選手を成長させる指導者の存在
制度の成功には、選手の成長を第一に考える指導者の存在が欠かせません。中央大学の実方監督は、ミスをしても最初に褒めてからアドバイスをする指導スタイルで選手たちの挑戦意欲を引き出しています。また、選手主体で取り組ませることで自律性も育んでいます。
厳しいトレーニングも、単なる鍛錬ではなく選手の将来を見据えた愛情あるものとして選手たちに受け止められているのです。
アスリートのセカンドキャリア支援に取り組むスポーツコミュニティ株式会社では、このような先進的な取り組みを調査・紹介し、アスリートのキャリア形成を後押ししています。
YouTube番組「アスリートキャリア」では、このような事例から得られる知見を発信し続けています。
この中央大学ハンドボール部の取り組みをもっと詳しく知りたい方は、YouTube「アスリートキャリア」チャンネルで配信中の「【日本一の監督対談】特別編 中央大学ハンドボール部に潜入!」をぜひご覧ください。アスリートたちの成長物語から、キャリア形成のヒントが見つかるはずです。
スポーツコミュニティ株式会社
スポーツコミュニティ株式会社は、「スポーツ共育」を世界に広げることを理念とする企業です。
主な事業内容
– スクール事業
– 施設開放管理・部活動支援事業
– 幼稚園支援事業
– アスリート支援事業(セカンドキャリア支援を含む)
同社では、アスリートのセカンドキャリア支援にも力を入れており、その一環として中村社長自らYouTube番組「アスリートキャリア」の企画・運営をスタートしました。この番組は、新たなキャリアを模索するアスリートと、新たな人材を求める企業とのマッチングを目的としており、スポーツ選手のセカンドキャリア問題や、スポーツ能力がビジネスでも通用することを社会に発信していきます。
公式HP:https://sports-community.co.jp/
YouTube「アスリートキャリア」: https://www.youtube.com/@Athletecareer
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