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【トライアスロン】松井一矢選手、第40回全日本トライアスロン皆生大会レポート

【トライアスロン】松井一矢選手、第40回全日本トライアスロン皆生大会レポート

第40回全日本トライアスロン皆生大会が、2022年7月17日(日)開催され、ウルトラマン・トライアスロンを目指している松井一矢選手が出場し、大会開催レポートを頂きましたのでご紹介させていただきます。

全日本トライアスロン皆生大会とは

日本で最初に開催されたトライアスロン大会で鳥取県米子市の皆生温泉のある街で開催され、今日まで続く最古のトライアスロン大会。毎年7月の暑い時期に開催され、灼熱の皆生とも呼ばれている。日本国内のロングディスタンスと呼ばれるレースは4試合あり、沖縄県の宮古島、長崎県の五島列島、新潟県の佐渡島、そして鳥取県の米子市の皆生大会です。

トライアスロン 松井一矢選手について

兵庫県出身。2019年2月25歳で献血100回を越え日本赤十字社金色有功章を受章してから、同年5月にITU主催トライアスロン世界選手権inスペイン/ポンテベドラ大会(ロングディスタンス部門)に日本代表選手として出場。超人レース「ウルトラマン・トライアスロン」出場に向けてトレーニングを積み重ねている。

松井一矢選手のレースに駆ける想い

以下、松井一矢選手からのレースレポートをご紹介いたします。

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トライアスロン発祥の地、皆生で開催される特別な大会。22歳で皆生の存在を知り憧れた。出場を申し込んだが実績不足と言われて落選。皆生に出たくて実績を作る為に申し込んだのが「アイアンマン・トライアスロンinマレーシア/ランカウイ島」でした。帰国後にウルトラマンレースの存在を知り、今目指している夢へと繋がります。そのチャレンジのおかげか、翌年23歳で初出場、24歳で年代別初入賞、25歳と3年連続出場。そしてコロナ禍が到来した。今年は3年ぶりの開催となりました。

スタート前

朝は3時起き。皆生の海を泳ぐつもり満々で気持ちを高め、いざ会場に向かい、バイクをセッティングすると… まさかのスイム中止が発表された。マジかよと落胆する想いと同時に、変更になるのが1stラン6.9kmとのことで、得意分野になったことで逆に高揚感が出た。そんなこともあるんだと思った。40年の歴史ある大会でスイム中止は今回で4回目だそうです。雨も風も無い、夏の陽気なのに、波だけが高かった。神様は自分に何をせよ と言っているのか。必ず意味がある必然さを感じた。

スタート地点に並ぶ。スタートは朝8時30分。いけるところまで先頭集団に付いてみよう。皆生の海を背中に、選手に向けて号砲が鳴り響いた。

スタート前。緊張感が漂う。

1stラン6.9km

スタートすると牽制し合う。先頭はどんなもんだろう?選手同士、体力温存したい気持ちがぶつかり合い、ペースが緩やか。このペースならいける!と思ったのも束の間。後方から物凄い勢いでペースアップする選手2名が現れ、先頭に立つ。ヤバい!速い!けど付いていこう!ギアチェンジしてペースを上げる。少しずつ後方の足音が遠くなると、先頭2名のペースが下がってくる。体力温存か?ペースが下がると、後方を走る集団に追い付かれる。一度下げたペースを上げるのは大変。後方の勢いは凄い。けど前に出たくない。前に出たら自分のペースでみんなが付いて来るはず。自分だけが体力削られる。それはヤバい。けど… 想いとは裏腹に。スタートしてから、まだ約2km。ペース維持をしたら、自分だけが前に出る形となった。単独走。

嘘やろ!ビビる自分と、このままいきたい!あわよくば、ランラップ1位も夢じゃない!?夢を描く。スタートして約3km、すでに暑い。苦しい。脱水。脚が止まり始める。ヤバい。この状況、一瞬でも気を抜けば、すぐ抜かされる。いけるところまで粘ろう。折り返し約3.50km11分42秒で通過。もう必死。ここまで来たら、勝ちたい。1stランだけでも良いから。体力が残らない閾値に到達したのを感じる。これ以上いけば、マジでヤバい。1stランだけで倒れてしまう。1stランで途中棄権?3年ぶりの皆生、まさかの時代。苦しい。暑い。極限域に到達すると、悪魔のささやきが聞こえる。もう止めても良いんだよ。1stラン10位とかでも良いじゃん。手を緩めたら?完走したいんでしょ。

約5km地点、一瞬立ち止まる。動けない。いや、動くんだ!気持ちが後ろ向きだったことに気付く。前を向け!前を!!あの先の角を曲がったらゴールだ!頑張れ。あそこまでイケ!後方とは相当距離が開いていた。けど不安と恐怖が自分を襲い、もっとペースを上げなきゃ!失速したら追い付かれる!焦りの気持ちは、自分を限界突破の次元まで導く。なんとしてでも!もうこれ以上いけば、体力が無い。1stランになるのは今年しかない!勝負するなら今この瞬間。諦めるな。折り返しで走るコースは多くの選手から声援を貰った。自分の走る姿でみんなに元気を届けたい!!気持ちが切り替わった。

再加速し、すべての筋肉を使い果たす勢いでラストスパート。ペースアップすると、あそこでゴールだからと思ってた曲がり角。実際は見通しが悪く、もう1km先だった。嘘だろ!もう体力無い。いや、やるんだ。魂で身体を動かす。心によるブレーキを突破する。再再ラストスパート。必死の次元を越え、決死の走り。魂の走り。自分の出番はここしかない!もう、これで終わっても良い。精根尽き果てるまでの走りは、復路3.4km11分33秒。念願の1stランラップ優勝。自分の役割を果たせた。

ゴール直後はほとんど記憶が無い。給水係に仲間もパートナーも待ってくれていた。それも嬉しかった。内面は嬉しさで満ち溢れる。外面はすでに熱中症発症。水分が全く身体に入らない。めまいがする。頭痛がする。さて、この後のバイクはどうなることやら… コロナ禍の影響でボランティア数を減らす目的で140km→115kmに短縮された。この体調で大丈夫だろうか。不安がいっぱいでしたが、完走を目指してバイクに乗車した。

バイク115km

バイクはスタートしてから序盤は勢いに乗れずも、スタートから20km過ぎた辺りで感覚を思い出す。40km地点辺りからバイクが身体に馴染んでくる。体調も少しずつ戻ってきて、今日はイケるぞ!というモードチェンジ。下り坂の恐怖心は無くならず、前半戦は安全策。目の前で脱輪する選手や、沿道でパンク修理する選手や、救急車で運ばれる選手、トラブルがたくさんあるように見えた。1stランで、すでにフラフラな自分は、なんとか完走しよう…と落ち着いたペース配分。だったが、55km地点でふくらはぎを攣り、左膝が痛くなる。早っ!予想より早い痙攣だった。中山のエイドに向かうまでは峠越え。アップダウンの繰り返し。勢い付けて下って、勢いで登り切る。この辺りから段々、目の前の選手を抜かせるようになる。登りは自分の得意分野!踏み込んでいった。

中山では初めて固形物を食べる。お昼ご飯かな。お米があったのがマジで美味しかった。感謝の気持ちを完走という形で体現したい。あと半分、帰り道。登り坂で踏み込んだ時でした。右のふともも前側を攣り、 裏側も攣り、踏み込めない。調子に乗ってアウターで登り坂に挑んでいたのが祟ったか。インナーの軽いギアでクルクル回して登る。全く前に進まない。タイム的に余裕はある。大丈夫。自分に言い聞かせながら。苦手な下り坂で勢いを出すには?考える。目の前の選手を追い駆けることにした。見通しの悪いカーブは全てでブレーキを掛けていたが、目の前の選手がそのままの勢いで曲がるのを見て、自分もイケるはずだ!と思い込み、ブレーキ掛けずに下る。今回はMAX62km/hのスピードが出ていた。もう恐怖しかない。けど、ここは乗り越えなきゃ。

アップダウンの連続が終わり、河川敷へ。もう間もなくゴールという場面。河川敷からUターンで短い登り坂、ギアが落とし切れておらず、重いギアのまま登った瞬間、次は右ふともも内側を攣る。痛い。けど前に進む。何人に再び抜かれただろうか。ゆっくりペースで前に進む。皆生のバイクが終わってしまう。寂しい気持ちも同時に感じながら。

2ndラン32km

いざランスタートすると快調に走る。どんどん前に進み、5kmは楽々だった。けども動きが止まるのは突然に。次の1kmが遠い遠い。まずは水分補給を大切に。スポーツドリンク中心に身体に入れる。段々気持ち悪くなってくる。身体が受け付けない。思うように身体が動かず、苦しさからか、無意識に下を向いて走っていた。すると右頭から光を感じた。何だろう?見上げると、そこには福元テツローさんが笑顔で立っていた。そんな奇跡あるのかと、内心、嬉しさが弾けた。足が痛いという雰囲気を一切魅せず、元気をくれた。光を送ってくれた。次こそは光を送る側になりたい。憧れの存在の姿がそこにあった。

エイドは2km毎にある。次のエイドまで頑張ろう。次のエイドまで頑張ろう。動きにくくても立ち止まることなく、一歩でも前に進み続けていれば、必ずゴールに辿り着けるはず。スポーツドリンクは見ただけで吐きそう。お茶を飲む。水をかぶる。暑い。苦しい。痛い。折り返しまでは走り続けることができた。今年は42km→32kmに短縮。折り返しは約16km地点。折り返せば、すぐゴールが見える気がした。20kmまでは走り続けられた。でも、そこからが長旅でした。バイクで攣った右ふともも全域がランで再発。歩きたくはなかったので、自分の中の最大速度で。あと10km。普段なら長く感じる距離だが、あの速度でも短く感じた。もう今年の皆生が終わってしまう… そう想う度に、筋肉が悲鳴を上げる。ゴールが近付く度に身体の動きが悪くなる。

何人に抜かれただろうか。必死を越えた決死。力ある分すべてを使おう。痺れる痛み。ゴールが近付く。挑戦できた喜びと、開催してくださったことへの感謝、仲間やパートナーの声援への感謝。今日1日で人生が変わる。ゴールゲートが見える。今回も辿り着けた。皆生のゴール。暑い日差し、足腰の痛みを耐え抜いた結晶。陸上競技場の景色、空気、雰囲気すべてを目に焼き付けながら、一歩、一歩を噛み締めた。

皆生で感じた想い

皆生の鉄人となるスゴく大切で貴重な機会。速い、遅いは関係ない。チャレンジするかどうか。一生懸命頑張ったかどうか。陸上競技では足が遅い自分だけど、トライアスロンは自分を受け入れてくれる。弱い自分だけど、チャレンジする機会を与えてくれる。「生きる」を感じさせてくれる。不安や恐怖心に挑むことができる。ゴールするまでに支えてくださったパートナー、仲間、みんなのことが頭に浮かび、感謝の念が身体を包む。挑めることが有り難いことだと感じ、ありがとうの涙が溢れる。

レース結果

1stラン(6.9km) 23分15秒 1位
バイク(115km) 5H15分27秒 360位
2ndラン(32km) 4H17分52秒 372位
【合計153.9km 9H33分19秒】
【総合順位 410位 / 930人中】

※ スイム3.0km → 1stラン6.9kmに変更

無事完走ができた。来年はさらに強くなりたい。

最後に

最高の時間を有難うございました。

1年間の成長と頑張りを披露する場が皆生トライアスロン。来年は距離が元に戻ると思いますし、スイムがあるはず。(本来の距離はスイム3.0km→バイク140km→ラン42km)。来年は私の夢である「ウルトラマン・トライアスロン」が皆生の2週間後にあります。来年の皆生ではすべての競技でハイパフォーマンスを発揮して、ウルトラマンレースへと繋げたい。

応援ありがとうございました。

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