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アスリート育成の革新者に学ぶ —— 全国大会4連覇を成し遂げた監督が語るキャリア形成の秘訣

中央大学ハンドボール部の監督が語る「改革」と「人材育成」の哲学は、アスリートのセカンドキャリアを考える上で多くの示唆に富んでいます。全国大会4連覇という輝かしい実績の裏には、単に強いチームを作るだけでなく、社会で活躍できる人材を育てるという明確な理念があったのです。今回は、そんな”改革王”を自称する監督の言葉から、アスリートのキャリア形成について考えてみましょう。

アスリートの可能性を広げる「理念」の力

スポーツの世界で結果を出すことと、社会で活躍できる人材を育てることは、決して別々の目標ではありません。むしろ、その両方を視野に入れた指導こそが、真の意味での「アスリート育成」と言えるでしょう。中央大学ハンドボール部の理念「ハンドボールを通し社会で活躍する人材を育成する」には、監督自身のビジネス経験が色濃く反映されています。
この理念が生まれたのは、監督就任から約7年が経過した頃。それまでの「チームとしての目標」だけでなく、選手一人ひとりが「スポーツを通じて何を目指すのか」という本質的な問いかけが必要だと気づいたことがきっかけでした。

スポーツで培われる「社会人基礎力」

アスリートとしての経験は、社会に出てからも大きな財産となります。中央大学ハンドボール部では、技術向上だけでなく、以下のようなビジネスでも通用する能力の育成に力を入れています:

  1. 人間性
  2. 社会性
  3. 向上心
  4. 忍耐力
  5. コミュニケーション能力

これらはまさに「社会人基礎力」そのものであり、アスリートが培ってきた能力が職場でも高く評価される理由です。監督は、ビジョンやミッションを明文化し、新入生全員に説明するという企業的アプローチで、この理念を浸透させています。

「建前」より「本質」を重視する姿勢

中央大学ハンドボール部では、多くのスポーツチームで見られる「タバコ・酒一切禁止」という一律のルールを採用していません。代わりに、法令遵守(20歳未満の喫煙・飲酒禁止)は厳格に指導しつつ、20歳以上の選手については「自由」としています。
この一見緩やかに見える指導方針の背景には、「建前より本質を重視する」という哲学があります。強制的な禁止事項を設けるのではなく、選手自身が自己管理能力を身につけ、社会に出てから必要となる「自分で線引きする力」を養うことが狙いなのです。

学業とスポーツの両立を実現する仕組み

監督就任当初、チームには「4年間で卒業できない選手が多い」という深刻な問題がありました。これを解決するために導入されたのが、朝6時半から8時半までの練習時間。授業開始時間に合わせたこの改革により、単位取得率は飛躍的に向上し、多くの学生が4年間で卒業できるようになりました。
このシンプルながらも効果的な改革は、2年もの時間をかけて慎重に進められました。高圧的なやり方ではなく、4年生全員の合意を得るなど、選手の主体性を尊重する姿勢が貫かれています。

「短期移籍」で視野を広げる

中央大学ハンドボール部が5年前に全国で初めて導入したのが、休暇期間中の日本リーグチームへの「短期移籍」制度です。これは単なる合宿ではなく、実際の試合にも出場できる形での移籍であり、選手の成長を加速させる画期的な取り組みです。
さらに一歩進んで、単位を取得した3年生をドイツリーグへ短期移籍させるという挑戦も行っています。これらの経験を通じて、選手たちは:
1. 高いレベルでの経験を積む
2. プロの環境に触れる
3. 自分の可能性を広げる
4. グローバルな視点を養う

といった、将来のキャリアにも活きる貴重な機会を得ています。

全員にチャンスのある環境づくり

中央大学ハンドボール部では、試合に出るメンバーを決めるトレーニングマッチでも独自の方法を採用しています。固定されたAチーム・Bチームという分け方はせず、全員をごちゃ混ぜにすることで、常に全選手にベンチ入りのチャンスがある環境を作っています。
この方針は、選手自身が自分のパフォーマンスを客観的に認識し、目標に向けて努力する姿勢を育みます。スポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、公平な評価と常にチャレンジできる環境は、人の成長に欠かせない要素なのです。

「全人的育成」がもたらす長期的なメリット

監督が目指しているのは「楽しいチーム」づくり。選手たちがハンドボールも、生活も、授業も楽しんでいる状態が理想だと語ります。なぜなら、スポーツだけでなく生活全般を充実させることが、「社会で活躍する人材」になるための土台となるからです。
この「全人的育成」の考え方は、アスリートのセカンドキャリア支援においても重要な視点です。競技生活で培った能力や経験を、いかに社会に還元できるかを考えることで、引退後の不安を軽減し、新たな挑戦への意欲を高めることができます。

企業とアスリートの新たな関係性

アスリートの採用を考える企業にとっても、こうした「全人的育成」を受けた人材は魅力的です。なぜなら彼らは:
・目標に向かって努力し続ける粘り強さ
・チームで成果を上げるためのコミュニケーション能力
・自己管理能力と責任感
・失敗から学び成長する力

といった、ビジネスの現場でも高く評価される資質を持っているからです。
スポーツの世界で培われたこれらの能力は、適切な機会と環境があれば、ビジネスの場でも大きな力を発揮します。そのためには、アスリートと企業の間に立ち、両者の強みを活かしたマッチングを行う存在が必要不可欠です。

スポーツコミュニティ株式会社の取り組み

アスリートのセカンドキャリア支援に力を入れているスポーツコミュニティ株式会社では、その一環としてYouTube番組「アスリートキャリア」を企画・運営しています。この番組は、新たなキャリアを模索するアスリートと、新たな人材を求める企業とのマッチングを目的としており、スポーツ選手のセカンドキャリア問題や、スポーツ能力がビジネスでも通用することを社会に発信しています。
中央大学ハンドボール部の事例からも分かるように、アスリートの可能性は競技の枠を超えて広がっています。今回紹介した「理念に基づく人材育成」「自己管理能力の育成」「短期移籍による視野拡大」といった取り組みは、アスリートのセカンドキャリア支援にも大いに参考になるでしょう。

アスリートとして培った能力を社会で活かすための第一歩を踏み出すために、ぜひYouTube「アスリートキャリア」をご覧ください。そこには、あなたの可能性を広げるヒントが詰まっています。

公式HP:https://sports-community.co.jp/
YouTube「アスリートキャリア」: https://www.youtube.com/@Athletecareer 

 

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