こんにちは、バーティカルランナー、階段坊主こと矢島昭輝です。
本日のアスリートインタビューはカヌーの荒木悠太選手。
現在現役大学生として競技に取り組んでおり、インタビューの前には一緒に階段トレーニングをするほどアクティブな青年でした。
自己紹介~カヌーとは~
―――はじめまして、本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
はじめまして、カヌースプリントをしている荒木悠太です。今は立命館大学の体育会カヌー部に所属し競技をしています。
昨年大学2年の時には、全日本規模の2022カヌースプリント海外派遣選手選考会にて
c-1 1000mで6位になり、世界大学選手権大会の日本代表に選出されました。
―――輝かしい戦歴ですね。カヌースプリントの競技、またc-1 1000mとはどういった意味でしょうか。
カヌースプリントはカヌー競技の種目の一つです。流れがない河川や湖などで行われるもので、1人乗りから4人乗りの船に乗って直線コースを同時にスタートし、いかに速くゴールできるか着順を争うスピード感が魅力の競技です。
使用する船の種類でカナディアンカヌーとカヤックに分かれていて、さらに乗組員の人数によって「シングル(1人)」「ペア(2人)」「フォア(4人)」に区別されます。距離は200m、500m、1000mに分類されています。
「c-1 1000m」とは「カナディアン、シングル、1000m」という意味です。
スラロームといって、流れが速い河川で競技を行う種目もあり、そちらは自由自在に船を操る技術が見どころとなります。
中学時代は柔道部~しかし高校進学先には柔道部がない…~
―――カヌーはいつから始められたのでしょうか。
カヌーを始めたのは高校に入ってからになります。中学時代に柔道部だったので、高校も柔道を続けようと思っていました。しかし、私が高校に進学するタイミングで柔道部が廃部になってしまったんです。
―――なんと、それはがっかりですね。
はい、とてもがっかりでした。どうしようか迷っていたのですが、当時から筋肉質だったので、筋肉を活用できる部活動を探してカヌーに辿り着きました。
―――高校時代のカヌーはどうだったでしょうか。
とても楽しい時間を過ごせました。
高校1年生からカヌースプリントを始めましたが、高校3年生の時にはアジア選手権日本代表、全日本選手権3冠を達成しました。
―――競技を始めて3年でそれだけの結果を出すのは素晴らしいですね。
ありがとうございます。決して才能があったわけではないんです。フィジカルの強さを活かして一生懸命練習を行うことは勿論ですが、客観的に自己分析をして、分からない事があれば他の人に教えてもらう事を繰り返してきた結果だと思います。周りの環境にとても恵まれました。
カヌーを始めたきっかけ~実は子どもの頃にカヌーと出会っていた~
―――名古屋生まれの私からすると高校の部活にカヌー部がある事が驚きです。滋賀県はカヌー人口が盛んなのでしょうか。
琵琶湖が近いため滋賀県周辺ではカヌーは他の地域より盛んになります。カヌーはとても面白く魅力溢れる競技になりますが、河川が無い地域では、そもそも日常の中でカヌーとの接点が少ないですよね。
私は高校時代からカヌーを始めていますが、実は初めての出会いは9歳の時になります。綾部高校が主催したカヌー体験でカヌーを知って、子どもながらにとても心が躍った事を覚えています。その時の記憶が残っていたから、高校に入った後も「カヌーをやってみよう」と自然と思えることが出来ました。
―――子どものときの体験は強く印象に残るものですね。河川や海、山、そういった環境によって地域で盛んになるスポーツが違うというのはとても興味深いものがあります。荒木選手がもし河川の無い地域に生まれていたら、多分カヌーと出会うこともなく、もしかしたら柔道選手になっていたかもしれませんね。そう考えると荒木選手は琵琶湖や滋賀県に感謝ですね。
そうですね。琵琶湖や滋賀県、だけじゃなくて両親や仲間、カヌーと出会ったきっかけを作ってくれた方々、応援してくれる人、と数えたら感謝する人を挙げたらキリがありません。
今は「競技力を高めること」に焦点を当てた生活を送っていますが、ゆくゆくは私も「荒木選手のおかげでカヌーが好きになりました!」「荒木選手のような格好いい選手になりたいです!」と言われるような、誰かに感謝をされるような選手になりたいです。
それがこれまで応援してくれている人への恩返しかもしれません。
大学生活は充実の毎日~日本トップには必ず手を届ける~
―――荒木選手は現役大学生という事ですが、大学生活はいかがでしょうか。
周りの仲間にも恵まれとても充実した生活を送れています。
ただ「競技に専念できているか」と聞かれると、「はい、そうです」とは答えられません。アルバイトを掛け持ちしながらでないと競技が続けられないのが現状でして、これから海外遠征もあると考えると遠征費の捻出が厳しいです。
高校時代は学校に補填して頂いたのですが、大学に入ると全て自費となりました。
―――アルバイトの掛け持ちは大変ですね。競技の負担になっていないか心配です。
ありがたいことにアルバイト先はとても良い方々ばかりで、競技も応援してくれますし、趣味や実益を兼ねた働き方をしています。気分転換にアルバイトに行く、という感覚もあるので、そういった意味では今はとても充実した環境にいると思います。
―――とても良い事ですね。荒木選手は人が応援したく何かがあるのでしょう。大学時代に達成する目標を教えて下さい。
今年の目標は全日本選手権c-1 1000mで4位以内、全日本学生選手権で優勝することです。この成績を修めれば、来年2023に開催される全日本規模の大会で3位以内に入ることが視野に入ります。この大会で3位に入ることが出来れば、この先ジャパンナショナルチームに入る事が出来るためパリオリンピックへの道が開ける事となります。
パリオリンピックに何としてでも出れるよう、頑張っていきます。
現在の目標~2024年パリオリンピック出場~
―――パリオリンピックの出場、応援しています。今の実力と世界レベルとの差はどのようを見ているでしょうか。
世界のトップで闘っていくためにはまだまだカヌーの技術力が足りないと感じています。逆に体力面では自信があります。周りの選手と比べると、人より頭2つ分ぐらいは体力があるなという事を普段のトレーニングからも感じています。
実際に体組成を計測した事があるのですが、どこの部位もとても高い数値が出ており、持久力も問題がない現状です。
しかしながら、その状態であっても日本のトップとかなり差があるという現状なので、今の私の課題は技術面だと自覚しています。
―――自分の強みや弱みを理解しているのは大事な事ですね。
実は、今回の階段トレーニングをしてさらに浮き彫りになった弱みもありました。
―――どんなことでしょうか。
全身を連動させて動かす事が案外苦手だな、という事です。
階段を走っていた際に思ったのですが、手と足が思ったよりバラバラに動く時がありました。カヌーは水上競技なので陸上よりも平衡感覚や手と足のバランス、思うように身体を動かす、ということには人一倍練習時間を割きます。
手と足を連動させてしっかりと力を伝える、純粋に体力をつける、そういった意味では今後もトレーニングメニューに取り入れてもいいかなと思いました。
それに早朝に神社仏閣の階段を走るのは気持ち的にも清々しいものがありました。
階段トレーニングにお誘い頂きありがとうございました。
―――いえいえ、私も荒木選手のガッツある走りが見れてよかったです。最後まで一度も止まらなかったのはさすがでした。近所にこんなすばらしいお寺の階段があるのはとても稀なことなので、是非今後も参拝がてら走ってみてくださいね。
本日はありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
荒木悠太選手の魅力~周りに笑顔と元気を与える好青年~
カヌースプリントにてパリオリンピックを目指す荒木悠太選手。階段トレーニングの誘いも二返事で「行きます!」と答え、ハードな練習メニューにもついてきたのはあっぱれでした。
800段ほどの階段を階段坊主は4分9秒、荒木選手は6分10秒…滋賀県は立木観音様に朝の参拝も兼ねてのトレーニングでした。
また荒木選手は、すれ違う人が二度見をするほどの筋肉質ですが、「運動は全て支点、力点、作用点から説明できて、僕の体力や技術からしてこの階段は・・・(以下略)」と理論的に話す姿にはプチギャップでした。なるほどさすが『客観的に自己分析が出来る』が強みなだけありました。
トレーニングやインタビュー時は、思いがけないマル秘なハプニングがいくつかありましたが、終始明るい笑顔だったのが印象的で、その誰とでもすぐに打ち解け合える人柄の良さをこれからも充分に活かし、競技人生を歩んでほしいところです。
現役大学生という事もあり、まだまだ伸びしろばかりの荒木選手。これからもどんどんと力をつけることでしょう。今後の活躍に注目です!
カヌースプリント 荒木悠太選手を応援しよう!
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