• アスリートインタビュー
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【アスリートインタビュー】フラッグフットボール /タッチフットボール・佐藤 由樹選手の魅力に迫る!

みなさんこんにちは!女子サッカーの大宮 玲央奈です。
今回のピックアップアスリートインタビューは、フラッグフットボール /タッチフットボールの佐藤 由樹選手です!

自己紹介

ーーーまずは佐藤選手の自己紹介をお願いします。

佐藤ゆきと申します。
フラッグフットボールという、アメリカンフットボールからタックルと防具をなくして、代わりに腰に付けたフラッグと呼ばれる細長いひも状のものを引っ張って取れば、タックルと同じで攻撃を止めることができるという女性や子供でも安全に楽しく、アメリカンフットボールの戦略性を楽しめるようなスポーツをやっております。

ーーー本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いいたします!

photo by oval sports network

競技の説明 ― フラッグフットボールとは?

ーーーまずはフラッグフットボールについて教えてください。

先ほども少しお伝えしたように、フラッグフットボールは、アメリカンフットボールからタックルと防具をなくしたスポーツです。
代わりに腰に付けた“フラッグ”と呼ばれる細長い紐を引っ張ることで、タックルの代わりになります。基本的にはコンタクトがないので、子どもや女性でも安全にプレーできるのが特徴です。

ーーーどんなルールで試合が進むんですか?

基本はオフェンス5人、ディフェンス5人がいて、フィールド上では5対5で試合が行われます。
オフェンスは4回の攻撃チャンスが与えられていて、その間に決められた距離を前進すると、さらに4回攻撃を続けられます。ボールをエンドゾーンに運べば得点。ディフェンス側はフラッグを取って攻撃を止めることで守備をします。

ーーータックル要素もない中で、かなり戦略的な要素が強そうですね。

そうなんです! 単純なフィジカル勝負ではなく、頭を使うスポーツだと思います。
一応接触は禁止されてるんですけど、とはいえやっぱりボールを競り合ったりする中で当たったりとかは結構あって、審判によってファウルの幅があったりして。
守備ではフラッグをプルするのか、ボール投げるクォーターバックにプレッシャーをかけるのかだったり、逆に攻撃では相手の守備を読んで、どこに攻めるかを判断することが重要になりますね。

photo by oval sports network

はじめたきっかけ ― バスケットボールからの転向

ーーー佐藤選手は幼少期からフラッグフットボールをやっていたんですか?

いえ、もともとはバスケットボールをやっていました。でも、ドリブルが苦手で……(笑)
大学で続けるか迷っていたときに、たまたま“タッチフットボール”という競技を知ったんです。

ーーータッチフットボール? フラッグフットボールとは違うんですか?

似ているんですが、ルールが少し違います。
タッチフットは、相手を両手でタッチすることで止めるスポーツで、フィールドも広く、コンタクトプレーが認められています。
バスケのときにファウルでよく退場していたので(笑)コンタクトOKのタッチフットは自分に合っていました。

ーーーそこからフラッグフットボールへ移ったんですね?

移ったというよりもどっちもやっています!
社会人になってもタッチフットを続けていたんですが、大学を卒業後、たしか28歳くらいのときにフラッグフットボールの世界大会のトライアウトがあると知りました。
タッチフットとは違うだろうなというところでずっと悩んでいたのですが、当時の監督に受けてみたら?と言われて挑戦しました。
結果、代表に選んでいただいて世界大会に出場したのですが、最初はルールの違いにも戸惑ったりして、試合に出ても交代要員が中心でした。
悔しくて、もっとちゃんと活躍したいと思って本格的にフラッグフットボールに取り組むことになったことが大きなきっかけでした。

1月5日タッチフットボール全国大会での優勝&MVP

競技の魅力 ― 役割の明確さと多様性

ーーーフラッグフットボールの魅力はどんなところにありますか?

一番の魅力は、役割が明確なところですね。ポジションごとに求められるスキルが違うので、自分の得意な部分を活かして戦えるんです。
もう一つは2028年にロサンゼルスオリンピックの競技として追加競技の承認がされたので、オリンピアンになれるかもしれないと、10代の若い子たちが始めることが多いです。今私のフラッグのチームも中学2年生の14歳とかと、44歳が一緒に練習してるっていう環境で、ルールとしてとてもシンプルなので、同じフィールドでも一緒にできるっていうそういう幅広さも魅力だと思います。

ーーー他のスポーツだと、それだけの年齢層が一緒にプレーするのは難しいですもんね。

中2だとギリギリではあるんですけど、体格の差があってもコンタクトが禁止されているので、ある程度一緒にできるんですよね。
国際レベルなると危なさが出てきてはくるのですが、日本でやってる分には大丈夫っていうのがあるので、ダイバーシティ的なところの魅力もあるかと思います。
あとは戦略性みたいなところで、やっぱりフィジカルも大事なんですけど、いかに相手の穴を突くかというスカウティングと呼ばれるところも魅力です。準備のスポーツと言われていて、アメリカンフットボールでも「準備のスポーツだ」っていう格言があるのですが、それはフラッグフットボールでも同様です。いかに対戦相手のビデオ見て、どこが穴か考えて狙うところを決めて、じゃあこういうプレーでやったらいいんじゃないかと、そういう考えてる時間も結構楽しいんですよね。

ーーーアメリカンフットボールとかの試合が放映されるのを見ると、タブレット持ってたりしますもんね。

私たちはあんまりIT化できてないんですけど。 (笑)
もうシンプルにプレー書き出して、この体形だとこれが多いとか、そういうことをやっています。

ーーータッチフットボールの魅力はいかがでしょうか?

タッチフットの方もベースは同じで、それにプラスアルファ、私が腕力に自信があることもあり、コンタクトがオッケーでぶつかり合える楽しさが魅力です。
アメリカンフットボールも、ぶつかる迫力がすごい魅力だと思っていて、アメフトでいう走る攻撃ってもうどんどんぶつかり合って、道を力技で作って1ヤードでも2ヤードでも進むというプレーがあるんですけど、そういう泥臭く少しでも刻みながら進むような、そういった面白さはタッチフットボールだからこその良さかなと思います。
アメフトだと女性はまだやっぱり難しいところがあって、あの重い防具を着てプレーするっていうのはちょっと現実的じゃないんですよね。それに比べ、タッチフットは防具を付けないので、女性にも競技ハードルは低くて面白いのかなと思います。

ーーー女性にとってちょうどいいコンタクト加減のスポーツなんですね

そうだと思います。 実はラグビーをやったことがないんですけど、タックルとかみていて面白そうだなと興味があります。(笑)
タッチフットも、タックルまではいきませんが、それに似たブロックというコンタクトがユニークで面白いところかなと思います。

photo by JAFA

佐藤選手の競技面の強み ― 155cmでも勝負できる武器

ーーー佐藤選手のプレースタイルについて教えてください!

私は身長が155cmと小柄なので、高さで勝負はできません。でも、その分、スピードとクイックネスを武器にしています。相手を素早く振り切ってフリーになり、パスをキャッチする。それが私の強みですね。

ーーー体格差がある相手とも戦えるんですね!

フラッグフットボールは戦略が重要なスポーツなので、フィジカルだけでは勝てません。
相手の守備を見て、どう動けばフリーになれるかを考えることが大事なんです。

ーーーご自身でチームを立ち上げてクラブ運営もしていると思うのですが、性格的なところとしての強みはなんでしょうか?

一緒に立ち上げたメンバーはいるので、一人でというわけではないんですけど、2021年からずっとキャプテンをやっています。
タッチフットボールでもキャプテンをやってるので、2つチームのキャプテンをしていて、ちょっと大変だなと思いつつ(笑)

ーーーリーダーシップをひしひしと感じます!

今フラッグフットボールのチームに10代がすごい増えてきていて、なんだか学校の先生みたいな感じで。そこはあんまり向いてないのかなと思いながらも、新たな領域で頑張っています。

ーーー年齢も、エネルギーも、考え方も全然違いますもんね。

自分の競技レベルを上げるだけだったらすごい考えることってシンプルで、そっちに集中したいという気持ちもあるけど、やっぱりこの競技を少しでも広めたいですし、フラッグフットボールもタッチフットボールも両方やってくれる人を一人でも増やせたらなという思いもあるので、やりたいこととのバランスが難しくて、最近悩みの種です。

プライベートについて ― スポーツ以外の一面

ーーー競技以外ではどんなことをして過ごしていますか?

漫画が好きで、最近は『ハイキュー!!』を読んでハマりました。
本当に響く言葉ばかりで、もっと早く読めばよかったです!もっと練習出来たかもしれないです(笑)

ーーースポ根系の漫画がお好きなんですか?(笑)

案外そうでもなくて。(笑)
ワンピースとかナルトとか正統派ジャンプ系漫画がすごい好きですが、昔から何でも読みます。

現在の活動状況 ― 仕事と競技の両立

ーーー普段はどんなスケジュールで活動しているんですか?

フルタイムでマーケティングの仕事をしています。朝から夕方まで働いて、その後にトレーニングをする生活です。
週に1回パーソナルトレーニングを受けていて、週2~3回はリハビリを兼ねたジム通い。あとは家で自主トレをしています。

ーーーかなりハードなスケジュールですね!

チームの練習は土日にあるので、ほぼ毎日何かしら体を動かしています。
仕事のあとにジムへ行くことが多いので、夕方から夜にかけての時間は基本的にはトレーニング中心ですね。

ーーー休みの日はありますか?

シーズンによっては少し休める期間もありますが、フラッグとフットの期間が入れ替わりであるので、一年中活動していて、自分でもやりすぎじゃないかと思うこともあります(笑)

photo by oval sports network

大会情報 ― 直近の試合について

ーーー最近の試合について教えてください!

3月30日に全国大会がありました。関西大会で2位になり、全国大会への出場権を獲得し、出場してきました!

ーーー全国大会ではどんな戦いでしたか?

1回戦は関東の第一代表であるヒューペリオン東京と対戦しました。接戦でしたが、27対24で惜しくも3点差で敗れてしまいました。

ーーーかなりの接戦だったんですね。

本当に紙一重の試合でした。その後3位決定戦に進み、関西1位の千里山ブラックジャガーズレディースに勝つことができました。
関西大会予選のときに負けていた相手だったので、全国大会でリベンジできたのは良かったです。

ーーー全国3位、おめでとうございます! 今回の大会を振り返って、手応えは?

チームとして成長できた部分もありましたが、まだまだ改善点は多いです。
特に全国大会レベルになると、ちょっとしたミスが試合を左右するので、細かい部分の精度をもっと上げていきたいです。

photo by JAFA

今後の目標 ― さらに上を目指して

ーーー佐藤選手の今後の目標は?

まずは代表選考に向けてベストを尽くします。
2028年のオリンピックに関われたらベストだなっていうのはあります。ただ3年後、私は38歳になるので、どこまでいけるかなっていうのは簡単に言えないなっていうのもあるので、本当にまずは一年一年ベスト尽くし続けます!

ーーーチームとしての目標は?

国内の大会で日本一を取りたいですね。今年の全国大会では3位だったので、来年は決勝まで進んで優勝を狙いたいです。

photo by JAFA

目標達成に向けた課題

ーーー目標を達成するために、どんな課題がありますか?

個人としてはスピード、クイックネスです。そこは若い世代の方が強みでもあるので、そこに負けないレベルを維持してさらに向上させるかというところですね。あとは自分に足りない部分はたくさんあるので、いかに時間を作ってトレーニングしていくかっていうところかなと思います。
選手として国際大会に出場するようなレベルを目指していくには、ライバルは社会人に比べて時間がたっぷりある大学生、高校生だったりするので。そうなった時に、どうやってそこに追いついていけるかっていうのは課題です。

ーーーチームとしての課題は?

若い選手の育成ですね。チームには10代の選手も増えてきているので、いかに彼女たちを成長させていくかが大きなテーマです。
私自身、プレーヤーとしても頑張りながら、指導の面でももっと力を入れていけたらいいなとも思っています。

ーーー若手を育てる難しさは?

経験者同士なら感覚で伝わることも、初心者だったり若い子たちには伝え方を工夫しないといけません。
自分がプレーするだけでなく、どうやったら相手にわかりやすく教えられるか、そこが今の課題ですね。

ーーーまずは佐藤選手ご自身の代表選考に向けて、仕事と競技の両立は大変だと思いますが応援しています!本日はありがとうございました!

フラッグフットボールとタッチフットボールを始めてくれる人が少しでも増えると嬉しいです!
ありがとうございました!!

あとがき

まずは自身の代表選考、そしてフラッグフットボールとタッチフットボールの普及活動。
フルタイムの仕事をこなしながら、競技・チーム運営・後任育成・普及の多方面に全力を注いでいます。
彼女の芯の強さは、どんな競技の若い世代の選手たちに刺激を与える存在になると感じました。
スポンサードや応援などそれぞれのサポートの仕方で、佐藤 由樹選手をみんなで応援しましょう!

フラッグフットボール/タッチフットボール・佐藤 由樹選手を一緒に応援しよう!

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詳しくはアスリートとスポンサーを繋ぐFind-FCをご覧ください。

佐藤 由樹選手プロフィール

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