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【アスリートインタビュー】ウルトラマラソン/24時間走・楢木 十士郎選手の魅力に迫る!

みなさんこんにちは!女子サッカーをしている大宮 玲央奈です。
今回のピックアップアスリートインタビューは、ウルトラマラソン/24時間走の楢木 十士郎選手です!

自己紹介

ーーーまずは自己紹介をお願いします。

24時間で何キロ走れるのかを競う24時間走という競技に挑戦をし続けて、2013年から2019年まで日本代表として頑張ってきました。ウルトラマラソンをしている、楢木 十士郎です。

ーーー24時間走という競技があるんですね!

ウルトラマラソンの中でも、「24時間で何キロ走れるか」を競う24時間走という競技です。
距離が1mでも先に進むことができればよいので、寝ずに進んで行きます。

ーーー24時間走は初めて聞きました!本日はよろしくお願いいたします!

こちらこそ、よろしくお願いします!

競技をはじめたきっかけはダイエット?!

ーーーウルトラマラソンをはじめたきっかけはダイエットだと聞きました!

そうなんです。30歳の時、当時結婚式を控えていたのですが、おなかの周りにちょっと浮き輪がね(笑)
この浮き輪を取らな!と思ってダイエット目的で走り始めたことがきっかけですね。

ーーー本当にダイエットがきっかけだったんですね!(笑)

野球のリトルリーグを小学生までやっていましたが、それ以降の中高大はずっと帰宅部でした。
大学卒業後に働き出して、JTBに就職しました。当時、飲み会も多かったんですよね(笑)
部活の話に絶対になるんですが、帰宅部は話が盛り上がらないんですよ。(笑)
こりゃだめだと思って、もともと何か趣味が欲しいと思っていたのもあったので、30歳から一人で走り始めました。

ーーーいろんな要因が重なって走り始めたんですね!

そうなんです。それでフルマラソンの大会に出たら結構速かったんですね。

ーーーそれがすごいですよね!

もちろん半年間は練習して出ましたけどね。
3時間18分だったんです。お?これは結構自分に合っているのでは?と思ってそこからはどんどんマラソンにのめりこんでいった感じです。

ーーーダイエットからせっかくならフルマラソンをやってみようと思うメンタリティが、長年帰宅部だったとは思えません(笑)

陸上部上がりの人たちもそうですけど、小中高でたくさん「走らされ」てたら、走りたくないですよね。僕の場合は走らされていないから活きの良いゴムが残っていて、ビューンって引っ張るとやる気と一緒に推進力すごいんですよ。
大人になってから始めるスポーツだと、強制的か自主的かの違いが大きいなと感じます。

ーーーきっかけとなったダイエットも、趣味以上のものも見つかって大成功ですね!

おなかの浮き輪を取るとこはきっちりと果たせました(笑)
それまではタバコも吸っていましたが、、更に記録を伸ばしたいと思いタバコもやめました。

ーーー30歳を境に健康体、ひいてはアスリートの体になっていったんですね。

31歳で JTB から製薬会社に転職するのですが、走り始めて1年くらいがたっていたので、走ることを
ベースに住む街を決めました。そして、福岡県篠栗町に移り住みました。
篠栗町は福岡市の横にある自然豊かな街です。山に面しているのでランニングコース、アップダウンのあるコース、が沢山あります。そういうところの方が家賃も安かったりするので一石二鳥でした。

24時間走への挑戦そして日本代表に

ーーーマラソンはダイエットがきっかけだと仰っていましたが、そこからなぜウルトラマラソン、そして24時間走に転向したんでしょうか?

マラソンは練習すればするほど速くなっていったんですね。3時間も切れましたし、2時間50分も切れ
ましたし、2時間40分にもいきました。でもそこが僕の中の頭打ちでした。
練習してもしてもそこが限度で、そこから先は元々陸上部でトラックをめちゃくちゃ速く練習してる人たちの領域というか、僕にはなかなか出せなかったんです。
ただ練習をたくさんするのは好きだったし、人よりも長い距離を走ることにステータスを感じてたんです。
「練習でどこどこの街まで行った」だとか「今日は40km走った」とかですね。
そしたら友達はそんなの普通は走れんよって言ってくれて。

ーーー普通は走れないですよ!(笑)

それがきっかけでフルマラソンよりも長い大会にでてみようかなと思って、それで山口県に140kmの大会があって出場しました。
それで2回目に出場したときに優勝するんです。
自分が優勝できる大会があるんだって思って・・・、そしたら翌年も優勝で 2 連覇。
人よりも長く走るのは適用があるのかなと思いつつ、でも同時に、ここで連覇し続けるのも嬉しいけどあとあと自分が年をとったときにそれって自分の生きた証になるのかなと思ってしまって。
連覇したとか優勝したとか言うけど、「生きた証になるのか・・・」「爪痕を残せるのか・・・」と考えるようになり、色々調べてたら、ウルトラマラソンには世界選手権があって、当時それには代表を選出する選考会があることを知ったんです。

ーーー優勝に満足せずに成長し続ける姿勢が素晴らしいですよね。

ウルトラマラソンにチャレンジしたら24時間走で、今は4人なんですが、当時は6人内定して、6人中3番になって一発内定をもらえました。そこから2013年から2年ごとに2019年までの4期、日本代表として世界選手権に出場しました。

ーーー勢いのままひたすら駆け上がったんですね!

2013年はオランダで開催され初めて出場して 6 位入賞、15年はイタリアでそこから3期連続キャプテンも務めました。個性の強いチームを現地でまとめるというだけなんですけどね。

だた2019年には一度、僕も競技に終止符を打とうと思って、そこから経営学修士(MBA)を勉強しに行こうと勉強をし始めたころにコロナ禍に入ってしまいました。
なのでその時は文武両道の武の方はいったん置いておいて、文の方に振り切っていました。

ーーー2019年の世界選手権を終えて、少し競技から離れたんですね。

そこから少し経って、コロナ化も少しずつ明けてきて、もちろんボディはアスリートではなかったんですけど、もう一度走り出そうと思って再出発をしました。
当時はずっと会社員で私が今年48歳になるんですが、この年になると命の終わりを感じるようになるんですね。
「どこまで競技ができるのかなぁ、人生一度きりしかない。」そんなようなことを考えるようになって・・・。
「自分にしかできないことに挑戦したい」と考え、MBA で学んだ知識を土台に、脱サラして事業をスタートしました。
それも今までの仕事とは全く違う「走ること」で事業をスタートしました。
「自分にしかできないことで、感動と喜びを与える。必ず求めている人がいる」と考えたためです。

ーーーとても大きな決断ですね!

そして、「会員制のランナー専用パーソナルトレーニングスクール」を運営することにしました。
スタートしてちょうど1年が経過したところです。
なので今はそこの通っていただいているメンバー様と一緒に走り続けながら自分自身も競技を追いかけている真っ最中です。一緒に目標達成の感動を掴みに行っています。

現在の活動状況について

ーーー24時間走に向けて、練習量はどのくらいなのでしょうか?

ほぼ毎日走りはするんですが、距離を一つの目安にするんですよね。
月間の走行距離を今だと600kmくらいに設定しています。

ーーー想像するのが難しいです(笑)

1日20kmを30日ですね。
ただどうしても走れない日があったりするので、その分を多く走らないといけない日もあるので、それを日曜日に課しています。
レッスンに通ってくれている人たちとも一緒に走るので、600kmのうち150~200kmはメンバーの方と走っています。通っていただく方々のレベル感は様々なので、ペースは違うんですけどね。

ーーーウルトラマラソンを競技されている方はなかなかいないんですね。

僕がウルトラをやっているからか、5人かな?通ってくれています。
一緒に戦略を考えて、先日も266kmの大会に出られたりとか、福岡だと近くに壱岐ウルトラ100kmがあってそれもメンバーの方々と一緒に出場します。

ーーー育成アカデミースクールですね!

そうなんですよね。
パーソナルジムみたいな感じで専属コーチとしてマンツーマンで走りをレッスンします。それぞれの目的や目標によりますが、マラソン大会を一つの目標に置き、トレーニングを一緒に重ねていきます。福岡県なので福岡マラソンへ情熱を燃やす方が多いです。
メンバーの年齢層ってどのくらいかイメージつきますか?

ーーー30代半ばとかですか?

実は、50歳なんです。

ーーーえー!!!50歳ですか!?

みんな体力の衰えを感じだして、何かしないといけないと思うけども、なかなか一人じゃやりきれない、誰かのサポートを受けたいという人たちが強い気持ちをもって通ってきてくれています。
平均年齢50歳のやる気のあるパワーってすごいんですよ。

ーーー50歳は、平均年齢ですもんね?

最年長は63歳です。40代50代がメンバーの大部分を占めているベテランクラブチームなんです。

ーーーそれだけ同世代の方がいれば一つのコミュニティになって、走ること以上の楽しさがありますよね!

基本的にはマンツーマンでトレーニングするんですが、それだけだと面白みに欠けるので月に一回みんなが集まれる練習会を開いて、そこで顔と名前が一致していって、仲間が出来てっていうこともやっています。
仲間が出来ると、更にモチベーションも上がっていきます。

ーーー仲間の存在って大切ですよね。

そうですね、それに歳をとるとなかなか仲間ができにくい環境になってしまうのでね、そういうコミュニティがあるのは良いですよね。

大会とレース

ーーー今後の大会情報を教えてください。

次の競技の日本代表への選考会は2025年の3月にあるので、ここからいろいろな大会を使いながら体づくりをして仕上げてそこに合わせていきます。

ーーー日本代表の選考会はその大会で決まってしまうんですか?

その前の小さなポイントみたいなものはあるんですけど、その大会のポイントのウエイトが相当大きいのでほぼその大会が勝負です。
選考会前にコンディションを合わせていくのに10月19日に100kmの大会があるので、それに出るために8月9月は走り込んでいきたいです。

ーーー2ヶ月以上前から体つくりをされるんですね。

今までの経験上、直近3ヶ月の練習量と内容でそのレースの結果が左右されます。
世界選手権の時とかは直近3ヶ月の練習量を月間900kmに設定して、練習を積み重ねて結果が出ていました。

ーーーレースが始まれば24時間寝ずに走り続けているんですか?

寝ずに走り続けます。

ーーーその中で一番大変なことっていうのは、睡魔との闘いですか?

睡魔もそうですし、痛みもですね。
特に足ですが、全身が痛くなります。

ーーー24時間走ると最後はもう気持ちですよね。

昼前にスタートして、ゴールも次の日の同じ時刻になります。
走り始めて12時間を超えて一番きつい時が深夜で、睡魔と疲労との戦いです。
そこでいかに食べ続けることが出来るかで、深夜を乗り越えられるかどうかが決まってきます。
エネルギーが無いと動きませんからね。

ーーー私は試合中に体力的に苦しくなると、頭がぼーっとしてくることがあるんですが、楢木さんが24時間走っている最中にどんなことを考えて走っているんだろうととても気になります。

大会中は前後の順位、あとはエネルギー補給のことをずっと考えています。
そこを疎かにして、意識ができなくなってしばらく食べれないとか飲めないってなると、気が付いたころにはエネルギーがなくなって失速していきます。
なので15分に1回は何かエネルギーをとってこまめに意識して、常に食事のことを考えています。
レース後半になったら今度は、このレースが終わったら何を食べようかという食事のことを考えています(笑)

ーーー基本的には食事のことを考えているんですね!(笑)

ずっと我慢していたジャンキーなもの食べたいなとか、今回はケンタッキー行こう!とか(笑)
一生懸命意識を保って、走るペースを保って、エネルギーを補給し続けるって感じですね。

ーーー景色が変わるわけでもなく、精神力が本当にすごいなと。

周回して、同じことの繰り返しですからね。
夜は特に応援も少ないですし、本当に変わらないです。

ーーー正直なところ、私はサッカーの試合中だと走れるんですが、ランニング自体は好きではないんですよね(笑)なので24時間ずっと走っていることが想像できなくて、本当に尊敬します。

いやいや、僕らは一定のスピードでそこまでダッシュもしなくていいですけど、サッカーはダッシュして止まって、ダッシュして止まっての繰り返しなのでそっちの方が大変ですよ(笑)

もう一度日本代表になる

ーーー選考会への目標をお聞かせください。

現在僕は48歳です。
海外の選手をみると50代の選手でも代表になって出てきたり、もしくは順位が一桁の活躍をしている選手もいます。
僕はオランダ大会の6位が過去最高順位なんですが、その時からもう10歳以上年を取っているし、年齢からくるスピードの低下とかは否定できないところだと思います。
でも、それを経験値だったり練習量とかで補って、もう一度5回目の日本代表をとりにいきたいなと思っています。

ーーースクールのメンバーたちと一緒にですね!

そうですね!もちろん家族に支えられて、妻が食事のサポートをいっぱいしてくれているんですが、今までは個人のためだけにやっていました。
でも今は違います。家族以外に支え合っている KeepRunning の仲間がいます。

ーーー家族のサポートも大きいですよね。

当時は会社員で、仕事家庭以外の時間はすべて走るみたいな生活でしたけど、そこに妻の理解があったからこそ続けてこれました。
今は「会員制・パーソナルランニングスクール」を運営しているので、通われているメンバーの方々や応援をしてくれる人が沢山増えて来ました。その方々のためにも「この歳でもやれるぞ!」みたいなところを示すことが出来ると考えています。
コーチが自ら挑戦し続けることで、通ってくれている平均年齢50歳のメンバー方へ勇気を与えられるんじゃないかなと考えています。

ーーー身近に刺激となる存在がいるコミュニティは素敵です。

なのでもう一花咲かせるためにチャレンジしたいなと思っています。

スクール経営と競技者のバランス

ーーー日本代表復帰に向けて、現在の課題はなんでしょうか?

走ることを仕事にしたものの、まだ独立をして1年ちょっとなのでまだまだ事業が安定しているわけではないんですね。
なのでそこの経営の部分と、競技者として走ることのバランスが今は難しいですね。

ーーー事業を軌道に乗せるためにもプラスアルファのエネルギーが必要になりますもんね。

経営だけやってたら走ることがおろそかになってしまいますし、走ってばっかりいても生活していけるのかとい
うことになってしまいます。
ビジネスを軌道に乗せるためにも、自分で実績を出すということが大事だと思っています。
「自分が通っているランニングスクールのコーチが48歳で日本代表になった」ってなったらいいじゃないですか。
「何歳になってもやればできる!」と勇気を与えることが出来ます。
なのでバランスを取りながら日本代表復帰へ挑戦し続けます。

ーーー私も応援しています!ご自身の思う競技面での強みを教えてください。

同じことを繰り返しできることかもしれないですね。

ーーー継続力ですね。

目標を立てて、それを小さな目標を達成していくことの繰り返しを人よりも多くこなせるんだと思います。
じゃないとゴールにたどり着かないので。
いきなり高い目標やゴールを達成しようと思っても、たとえば24時間で250km走りたいと思ってもすぐにはできないので、だったらそのためには何が必要なのかを落とし込んで小さな目標を毎日コツコツ達成していくんですね。
地味な性格です(笑)

ーーーコツコツやることが難しいんですよね。

ちょっとしたことなんですが、それがなかなか続かないのでね。
毎日走り続けるのことは、華やかな世界ではないし、修行に近いので(笑)

ーーー私はサッカーというチームスポーツで、辛くなると近くに仲間がいると思って頑張れたりするんですが、楢木さんは自分との闘いですし、個人競技をやっている方は本当にすごいなと思います。

24時間走の中では、世界選手権になると団体戦があるんです。
今だと、男子4人女子4人が同じコースを走るんですが、全員24時間走り、上位の3人の記録を足して国別で争うんです。

ーーー個人戦のレースで団体戦も兼ねてるんですか?

そうです。なので選手たちは個人で頑張るのはそうなんですが、監督は代表選手たちの順位・距離を見ながら、団体戦でもいい順位で終われるようにというのを意識していると思います。
一回来た指令でこのやろー!と思ったのは、監督から、「楢木さん次第で金メダルかメダル取れないかが決まります。」って言われました。
20 時間くらいが経過していて、ちょうどその時僕が失速し始めていて・・・。きつくて体が動かず涙が出てきたのを覚えています。キャプテンだし、歯を食いしばってでもそこからもう一度飛び立ち、個人では 14 位。そして団体は金メダルを獲得しました!(1 位石川、4 位高橋、14 位楢木 2017北アイルランド)

ーーー日本のレベルは世界的に見ても高いんですね!

そうなんですよね、日本は常勝軍団なんです。
24時間走り続ける体は欧米人の方が適していると思うんです。それこそ真冬で気温が一桁(2013 オランダ)の時、私はネックウォーマーやニット帽、手袋なんかを付けて温かく走っている中、彼らはタンクトップで走っていました。肌の質が違うなと・・・。(笑)
そういうのを見ると素質の違いを感じるんですけど、24時間最後まで走り続ける忍耐力は日本人本当にすごくて、欧米人は結果が伴わなければいつのまにか走るのを止めてるんですね。
気づけば順位が上がっているんです。

ーーー日本人に向いている競技なんですね!常勝軍団ならもっとたくさんの人に知ってほしいと思いますし、私もできることがあれば応援していきたいと思いました。本日はお忙しい中、とても楽しいお時間をありがとうございました!

 

楢木選手の運営するランニングスクールでは新規スクール生、スポンサー企業様を随時募集しています。
ランニングが苦手な方でも、ダイエット、強い体作り、フルマラソン、ウルトラマラソン等それぞれの目的に合わせた走りを、専属コーチが完全サポートしてくれます。

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あとがき

サウナで整えることが趣味の楢木さん。
今年で48歳とのことですが、走ることに対する情熱は年齢なんて関係ないんだと感じました。
毎日コツコツとやるべきことを積み上げる地味な作業の先に花が咲きます。
家族やスクールメンバーたちの希望の星となれるように、もう一度日本代表への復帰を目指す楢木 十士郎選手をみんなで応援しましょう!

ウルトラマラソン/24時間走・楢木 十士郎選手を一緒に応援しよう!

ウルトラマラソン/24時間走・楢木 十士郎選手を応援・支援してくださるスポンサー様、サポーター、ファンの皆様を募集しております。
詳しくはアスリートとスポンサーを繋ぐFind-FCをご覧ください。

楢木 十士郎選手プロフィール

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