こんにちは。東京都フットサル1部リーグのマネージャーとして、リーグ制覇を目指している河合萌花です。
先日、同郷のアスリートで「ボッチャ」という競技に取り組まれている八木 椎奈(やぎ しいな)選手を取材しました。私自身、この競技に対する知識はほとんどなく、さらに言えば車椅子アスリートのお話を聞くのもほぼ初めてでした。女性だし、マイナースポーツだし…うっかり自分と重ね合わせそうになる中、彼女の心中を示すある発言に出逢いました。
「本当は自分がどうやってるかとか言うの嫌だったんです」
競技との出会い
「ボッチャ」とは、決められた数のボールを投げ、カーリングのように中心からの距離を競うもの。八木選手はレクリエーションなどで小さい頃からこの競技に触れていたものの、あるときまでは「遊び」でしかなく、特段の思い入れもなかったと言います。
しかし約5年前、学業そして新社会人生活を経て、スポーツが思うように取り組めなくなったとき、失いかけたものの大きさに気づきました。
「ボッチャって自分の中でこんなに大きかったんだ」
たった年に1日の大会の為に1年間をかけます!
「ボッチャ」にはいくつかの大会がありますが、選手としての実績を認められるには、年一回の日本選手権でいい順位につけなければなりません。多くのスポーツでは全国レベルの大会が何度かあったり、リーグ戦で勝てなくてもカップ戦で台頭を示す選手がいたりするものですが、ボッチャは本当に、その大会のみが選手のバリューを決めるものだそう。いかなる努力も一発の舞台で判断される、そんな話は他の世界含め聞かない話ではないですが、続く投資額に耳を疑いました。
ボールは一球8,000円~で13球で約20万円、パーソナルトレーニングは1回約1万円、加えて遠征費はすべて自腹…これも勝つため、と言えるのは今でこそで、本腰を入れ始めてからの最初の敗戦では、落胆をしばらく引きずったと言います。
八木選手の強み
「すぐ行動しちゃう」、彼女は自身のことを自戒も含めてそう話しますが、それこそ八木選手の強みではないでしょうか。
競技としてボッチャを取り組めるチームが身近に無いと知れば自らチームを立ち上げ、障がい者の身体を理解したトレーナーをつけたいと思えばネットで探してアプローチ、そして今回のスポンサー探し…
本当は、ぶっちゃけてしまえば手の内を隠しておきたい面もあると話した八木選手。取材中は時おり、狭い世界で戦うアスリートの難しさを回間見せました。
「本当は嫌なんです」
そう言ったあと、
「でも日本選手権で勝たないと意味ないし、そのためにはスポンサーが必要なので」
そこには八木選手にしかない強さと覚悟がはっきりと滲み出ていました。
見据えるゴール
八木選手は第21回日本ボッチャ選手権大会 東日本予選会で入賞を果たし、この冬はじめて本大会に出場します。目指すは全国レベルで結果を残し、いち早く強化選手に名乗りを挙げること。既に周囲からは成長を認められているそうで、あとは残りの時間で全国水準にまで到達できるよう、トレーニングを積むだけと意気込みを聞かせてくれました。
エピソードを語りながら共鳴しあっていたらキリがなく、いつもより長めの取材となった今回。お互い仕事帰りではありましたが、明日に向かってチカラが湧く時間が過ごせたことを一インタビュアーとして感謝しております。12月の選手権、サポーターの一人として吉報を心待ちにしています!!
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